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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章
「分かりました。団体も個人も楽しみにしています。では、次に宮平選手、しっとりした大人のエキシビションを見せてくれました」
「はい。もう、24歳ですからね~」
ちょっとやさぐれた様子の宮平 知子に、更に2歳年上の本郷 理香が「 “もう” って言うな!」と突っ込み。
女子のインタビューは、終始 和やかに執り行われたのだった。
手早く片付けたヴィヴィは、関係者の人込みを掻き分け、
「あ、いた。今(こん)先生、中居さんっ ありがとうございました~!」
楽屋袖で楽器を片付けていた2人に、ヴィヴィは飛んで行ってお礼を言う。
「ヴィヴィ! アドリブ入れるなら、先に言っておけ~。びっくりするだろ……」
白砂はそう叱りながら、細く高い鼻を抓んでくる。
「はは、確かに。こっちに向かって近寄って来た時は、本当にびっくりしたよ」
中居も苦笑しながらも、その顔は楽しそうだった。
「えへへ、ごめんなさい~。だって、お客さんが舞台の方ばっかり見てて、ちょっとやきもち焼いちゃって」
ペロッと舌を出して謝罪を口にしたヴィヴィだったが、本当は全く反省していなかった。
「だって、今先生が、超ノリノリで弾いてて――」
「今…… “先生” ?」
ちょうど通り掛かったらしいマリア 渋谷が、不思議そうにヴィヴィと白砂を見比べてくる。
「あ~、こちら、ヴァイオリンの……あ、ピアノもなんだけど、先生なんだ~」
そう説明したヴィヴィに、マリアは大げさに両手を頬に当てて驚いた。
「ひょ~っ イケメンに教えて貰えて、いいですなあ」
肘でつんつん脇腹を突いてくる彼女は、しかしまだ不思議そうで。
「っていうか、ヴィヴィの先生、誰かに似てる?」
「ん? あ~、ぺ様ね、ぺ様!」
マリアの疑問に即答したヴィヴィに、
「ぺ様? ああ、ペ・ヨンジュンね? あははっ 似てる~っ」
くりくりの瞳で白砂を見上げながら笑うマリア。
「お~い、マリア。ズエワコーチが呼んでる」
遠くから男の声でそう呼ばれたマリアは、「じゃあね」と言い置いて行ってしまった。