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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第112章
12月25日(日)で終了した全日本選手権。
開催地の長野から東京へと戻った双子は、その晩はお台場のホテルに泊まり。
翌朝は早朝から、各局の番組へと引っ張りだこだった。
それは他の五輪代表選手も同じで、日本フィギュアチームにどれだけの期待が託されているかが判る現象でもあった。
そして、年末。
双子は五輪の壮行会ラッシュだった。
現在、双子のスポンサーは、以下の10社。
・菓子メーカー : gruco
・生活用品メーカー : P&J
・大塚薬品工業
・日本国際航空
・健康器具メーカー : タニダ
・英国グロッサリーメーカー : フォートナム&メディソン
・京進ゼミナール
・英国アパレルブランド : プリングルス オブ スコットランド
・食品メーカー : 日新食品グループ
・プルーデンシャル・フィナンシャル(英国親会社)、日本プルーデンシャル生命保険
さすがに五輪の迫った大事な時期、10社全てを訪問するのは不可能に近く。
双子はそれぞれ5社ずつ訪問し、その際には各スポンサー宛ての動画メッセージと手紙を持参することにした。
ちなみに、平昌五輪時に努めていたJOC(日本オリンピック委員会)のシンボルアスリートは、スポンサーの競合が原因で終了していた。
年始の三ヶ日はスケートオンリーで、家族と揃ってゆっくり過ごし。
2022年1月5日(木)、日比谷 帝国ホテル。
1000名近くの招待客が集う大宴会場に、ヴィヴィは匠海と居た。
あ、クリスも居た。
円と太一の家――真行寺家の稼業、代々続く老舗商社の創業300周年を祝う会に列席する為に。
参列者に政治家が多いのも、真行寺家の特徴で。
一族には政治家や官僚が多い家柄。
その次期当主である太一に招待のお礼を述べた後、ヴィヴィは食い入る様にじいと見つめ上げていた。
「ん? どうしたの?」
柔和な笑みを浮かべながら尋ねてくる太一に、ヴィヴィは馬鹿正直に心の内を述べる。
「太一さんって……、すっごい人だったんですね」
聞いてはいたが、太一は物凄い家系の次期当主で、資産家の跡取り息子なのだ。
いつも物腰柔らかで、博学で、妹に「へたれ」呼ばわりされている様子からは、全く想像が付かないが。