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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第112章              

 2週間後に迫る学期末試験は、五輪の団体戦とスケジュールが被っているが、3年への進級を懸けた大切なもの。

 双子は交互に帰国し、その間に試験と追試を受けなければならない。

 そして当たり前だが、個人戦もある。

 閉会式が行われた3日後には、今度は3年進級時の専門科目を決定するための、1週間に渡る科目試験。

 そして、その1週間後には世界選手権が待ち構えている。

 図示すると以下の通り。

学期末試験 開始

↓→開会式
↓→団体戦

学期末試験 終了

追試 開始

↓→個人戦 
↓→閉会式

追試 終了

→3年専門科目試験
→世界選手権

 ぶっちゃけ、どっしり構えていないと太刀打出来ない、鬼のスケジュールだった。

(うん……。人間、開き直りが大切だ……)

 本当は、大学側もあまりの強行スケジュールを心配し、「追試験を先延ばしにしようか?」と申し出てくれたのだが。

 双子は世界選手権後の3月後半にならないと予定が空かない為、そのありがたい申し出を断わざるを得なかった。

「ふへぇ~~~……」

 ヴィヴィは可愛らしい顔には全く不釣り合いな、間抜けな声を上げながら身体の中から空気を絞り出し。

 その反動で深く息を吸い込み、リンクへと滑り出して行った。







 1月21日(土)。

 早朝練習後、ヴィヴィは牧野マネージャーと一緒に、スポンサーの一社である菓子メーカー・grucoへと赴いた。

 休日だというのに、江崎社長まで参加して下さった盛大な五輪壮行会。

 100名程の社員の前に立ち、ヴィヴィは常のサポートの感謝と、五輪での健闘を誓う。

 クリスからの動画も流され、社員の皆さんと記念写真を撮った。

(本当に、頑張らなきゃ。ヴィヴィとクリスは、これだけの人々や企業に支えられている)

 その思いを胸に、品川オフィス(本社は大阪府)から辞去しようとしたヴィヴィを、広報部長が呼び止めた。

「ヴィヴィちゃん! これ、持ってってよ」

 人好きする部長が手にしていたのは、1㎡のどでかいダンボール。

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