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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第112章              

「そう? ほら……」

 優しい囁きとともに、ゆっくりと触れ合わされる先っぽ。

「ふぅううっ うぁあんっ」

 もうヴィヴィは訳が分からなくなって、泣き声と喘ぎを交互に吐き出していた。

「ああ、泣きそうな顔して、そんなに気持ちいい?」

 両脚の拘束を解いた匠海が、ヴィヴィの頭を撫でてあやしてくる。

「う、うん……。お兄ちゃんの、かたぁい……っ」

「柔らかいんじゃなくて?」

「ん……。先っぽ以外のところ……凄く、硬くて……」

「ん?」

「硬いの、気持ちいい……っ」

 少し前までは青かったそこ。

 今は愛されると、媚肉が狂った様に兄の陰茎に纏わりつく。
 
 そうすると如実に感じる匠海の逞しい昂ぶり。

 硬くて太くて長くて。

 もう「自分は死ぬまで兄以外の男を知りたくない」と神に懇願してしまいそうなほど、愛おしい匠海のそれ。

「ああ、可愛いな、ヴィクトリア」

 そう囁いてくる匠海の方も、何だか可愛かった。

 ヴィヴィの最奥まで愛せることを、こんなにも喜んでくれるだなんて。

 兄妹はそのまま、緩慢な愛撫を繰り返していた。

 が、さすがにヴィヴィは切羽詰まってきた。

「……ぁあっ!? やっ やぁあっ も、もうイっちゃう……っ」

「いいよ」

 首を振って乱れるヴィヴィを、匠海は心底愛おしそうに見つめてくる。

「こ……こわいぃ~~っ」

「怖い?」

「き、気持ち、良すぎて、怖いの……っ」

(だって、だって、触れるだけでこんなになっちゃうのに、イっちゃったら、ヴィヴィ、どうなっちゃうの?)

 今の状態でも腰砕けで、もう両脚に力が入らないのに。

「大丈夫。俺、ここにいるだろう?」

 妹の気持ちを察したのか、匠海はシーツの上の華奢な肢体をぎゅうと胸に抱き込んでくる。

「……ん。ヴィヴィ、抱っこしてくれてる……」

「そうだよ。怖いことなんてない」

「うん。幸せ……」

 力の入らない両腕で兄の首に縋り付けば、上半身が密着し、得も言われぬ幸福に包み込まれる。

「ああ、愛してるよ、ヴィクトリア」

 兄の心からの言葉に、ヴィヴィの薄い胸の中はもう蕩けてでろんでろんだった。

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