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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第112章              

 円陣の中で大きく頷き合った8名は、大きな声を上げる。

「「「「「「「GO JAPAN! GO FIGHT――っ!!」」」」」」」」

 威勢の良い雄叫びと共に、円陣が解かれ、

 それぞれの顔には、自信とヤル気が漲っていた。







「ミュンヘン オリンピック。大会4日目です」

 画面の中、NHK総合の男性アナウンサー・工藤が映る。

 隣に立った女性アナウンサー・杉浦が説明を始める。

「さあそれでは、まず注目のフィギュアスケートの団体戦――2大会前のソチ五輪から始まった、まだ若い種目です。その団体戦・決勝は、昨日ペアのFPを終え、残り3種目となっています」

「団体戦は、今日でメダルが確定するんですね?」

 工藤の問いに、杉浦がフリップを用意しながら頷く。

「はい。団体戦は、予選のショート4種目、決勝のフリー4種目、合わせて8種目で競う団体種目です。10ヶ国で行う国別対抗戦で、各々の得点ではなく、予選と決勝で与えられるポイントで競います」

 フリップには、1位:10ポイント、2位:9ポイント……と、各種目で順位により与えられるポイント数が書かれていた。

 そして画面上に表示されたのは、予選を勝ち抜いて決勝へと進んだ上位5ヶ国。

「では、これまでの順位を整理しましょう。

 1位 カナダ  45ポイント

 2位 アメリカ 43ポイント

 3位 日本   41ポイント

 3位 ロシア  41ポイント

 5位 フランス 28ポイント

 なんと、メダル圏内の4ヶ国間で、最大4ポイントしか離れていないという、物凄い僅差の戦いとなっています」

「3位の日本は、2位のアメリカとは、2ポイント差ですね?」

 工藤の合いの手に、

「アメリカを逆転し、差を少しでも広げることが重要なのですが、要となるのは日本が得意とする男子・女子シングルのフリーです」

 杉浦がそう言い切る。

「ただし、アメリカは強いですからね、アイス・ダンス。油断大敵です。日本も難しい立場にいることは変わらないですが、期待して観ましょう」

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