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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第112章
日本選手の活躍は、日本では深夜だというのに大きな興奮を呼んでいた。
そして生放送を行っているNHK総合では、京都府知事選の速報を挟みながら、中継が繋がる。
「再び、ミュンヘン オリンピックのフィギュア団体会場、アイス・ガーデンです。間もなく、フィギュアスケート団体・決勝の残り2つの内、女子フリーが始まろうとしています」
男性の工藤アナウンサーの声に、興奮した様子の女性の杉浦アナウンサーの声が被さる。
「ウォームアップが始まっていますね?」
「女子フリーに登場するのは、篠宮 ヴィクトリア選手。2度目となる五輪の舞台で、どんな演技を見せてくれるのでしょうか?」
リンク内で6分間練習が行われる映像に、順位を示す画像が被さる。
「現在の国別順位は、
1位 カナダ 53ポイント
2位 アメリカ 52ポイント
3位 日本 51ポイント
4位 ロシア 47ポイント
5位 フランス 35ポイント
日本は現在3位。2位のアメリカとわずか1ポイント差。ここで是非、挽回して欲しいですね。篠宮選手は、この後4番目に登場します」
「さあ、女子のフリーの模様を観て頂きましょう」
ミュンヘンのスタジオから、会場の実況席へと中継が切り替わる。
男性アナウンサー進藤が、口火を切る。
「さあ八木沼さん、出番がやってきましたね」
解説の八木沼は、感慨深そうに相槌を打つ。
「そうですね。この団体戦は、個人戦の事を考えても、トップ争いを繰り広げるであろう選手が揃っていますからね」
「女子シングル、FPの滑走順です」
画面上には、各選手の様子と、滑走順が表示されていく。
1番:アナイス・ヴェンタン(フランス)
2番:ガブリエル・ドールマン(カナダ)
3番:アンネ・パゴリラヤ(ロシア)
4番:篠宮 ヴィクトリア(日本)
5番:ヴィヴィアン・リー(アメリカ)