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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第112章
団体戦の最終順位が発表された瞬間、日本チームは誰も彼もが飛び上がって喜んだ。
1位 アメリカ 70ポイント
2位 日本 69ポイント
3位 カナダ 66ポイント
4位 ロシア 65ポイント
5位 フランス 48ポイント
有言実行とは正にこの事! とばかりに喜んだ面々だったが、
しかし時間が経ってよおく見てみると、1位のアメリカとの差はわずか1ポイントで。
「きぃ~~っ!? くやしいっ!!」
「くっそ~~っ あと1! あと1ポイントだったのに!!」
と、日本チームの皆は天国から一転、地団太を踏んで悔しがった。
「う~~ん、銀メダルなんて言わずに、最初から “金メダルとる!” って宣言しておけば、違ったかな~?」
そう能天気に呟いたヴィヴィを、チームメイトがぎろりと振り返る。
「え……? あ、ご、ごめ……」
興を削ぐ事を言ってしまったかと、ヴィヴィは後ずさりしながら謝ろうとしたが。
羽生がその手を掴んで止めた。
「いや、ヴィヴィの言う通りだ。きっとアメリカは金だけを目指して戦ってきたはず……。俺らはその時点で、負けてたんだよ」
リーダーの鶴の一声で、8人はしょぼんとしてしまった。
そこへ団体戦の監督を務めた小林強化部長が、割って入ってくる。
「まあまあ、みんな。よく頑張ったわよ。1人1人が全力を出し切って、その結果の銀なのだから、私はみんなに誇りに思って欲しいわ」
監督のその言葉に、コーチ陣も頷いて同意し。
選手達も「次は、絶対に勝つっ!」と、浮上したのだった。
そして、お待ちかねの表彰式。
リンク上に作られた3段の表彰台に一斉に飛び乗った日本チーム8人は、皆がみんな弾ける笑顔を浮かべていた。
五輪関係者から労いの言葉を貰い、銀メダルを掛けて貰って、みんなで同じ花束を貰う。
いつもなら1人きりなのに、今は8人もいて、皆で勝ち取った物だから、喜びもひとしおだった。
双子が世界中の幸せを独り占め状態だった頃、
父と匠海は、既に会場を後にしていた。