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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第112章              

 翌日、2月18日(土)。

 また公式練習に参加したヴィヴィは、宮平と本郷と一緒に、2日後に行われるSPのドローイング(抽選)に参加した。

 世界ランク上位者12名を、後半の第4・第5グループに。

 その他の18名の選手を前半の第1~第3グループに分け、抽選を行う。

 各国のメディアと関係者が見守る中、ヴィヴィが引き当てたのは、

 最終グループである第5グループの1番滑走だった。

 その後、報道センターに移動して行われたのは、日本女子シングル選手に対する記者会見。

 宮平 知子、ヴィヴィ、本郷 理香の順に並んで着席した3人は、日本代表のロイヤルブルーのトレーニングジャケットに身を包んでいた。

「女子SPまで2日と迫りました。それぞれの今の心境をお聞かせ下さい」

 その質問に宮平から答えていき、ヴィヴィも細いマイクに向かって唇を開く。

「団体戦は自分の練習してきた事を本番のリンクで確認する、良い機会となりました。個人戦でも同じように “いつも通り” を心掛けて臨みたいと思います」

 何問か3人に共通する質問が寄せられ、それに対して淡々と返事を重ねていく。

「篠宮選手に質問です。個人戦でもSPとFPで、3回転アクセルを入れる予定ですか?」

 名指しの質問に、ヴィヴィは手元のマイクスイッチをオンにする。

「別段何も無ければ、入れる予定です。……私はずっと伊藤 ミドリさん・浅田 真緒さんに憧れてきました。歴代の日本女子選手が、五輪で3回転アクセルを跳んできた――その実績を、自分も受け継いでいけたらいいと思っています」

 その後、昨夜現地入りした本郷に質問が集中し、ヴィヴィは静かにそのやり取りを聞いていた。

「団体戦に出場した宮平選手、篠宮選手は、疲れなど残っていませんか?」

 その質問に宮平は、

「もう10日も経ったので、団体戦の影響は殆ど無いです」

 と笑って答え、ヴィヴィも続く。

「昨日今日と凄く良い状態で来ています。ちょっと過密スケジュールではありましたが、体調も万全ですし。再度ミュンヘンに入ってくる迄に、日本でしっかりとジャンプの確認など出来ました」

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