この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第31章            

 厳重な警備態勢で用意されたバスでリンク近くのアイスハウスに戻った選手達は、広いリビングに据え置かれた大きくフラットなソファーに座りこんだ。時計は夜の10:30を指している。各選手のコーチやトレーナー達は、コンドミニアムの二階会議室で行われているスケ連の面々との明日の戦略会議に出ているためいなかった。

 双子のスポンサーである大塚薬品工業から派遣された管理栄養士が、羽生のマネージャーやスケ連の手配した管理栄養士達と一緒に、選手達に夜遅くでも胃にもたれない軽食を振舞ってくれる。それを口にしていると、スケ連の幹部がリビングに現れた。続けて30名程のコーチ陣が入室してくる。

「皆、お疲れ様」

「お疲れ様で~~す」

 少し疲労の色を滲ませながらそう挨拶する選手達の近くまで歩み寄ったその幹部は、立ち止まると皆を見渡しにこりと微笑んで口を開いた。

「疲れているところ、待たせてしまって悪かったわね。明日の団体戦に出場する男女シングルの選手が決まりました。ええと、まず男子FPはクリス……期待してるわよ!」

 その言葉に周りのスタッフや選手達が拍手を送る。

「やったね、クリス!」

 ヴィヴィは隣で無表情のまま座っているクリスをそう言って小突くと、クリスは小さくはにかんで立ち上がり皆に向かってお辞儀をした。クリスがソファーに座ると、幹部がヴィヴィのほうを見つめてきた。 

「で――、女子FPの代表は、ヴィヴィね」

「―――っ!」

(やった……!)

 ヴィヴィは咄嗟にソファーの上に置いていた掌をぐっと握りしめた。皆の視線が一斉にヴィヴィに集まる。クリスが選ばれた時点で、シニア国際大会経験の少ない自分でももしかして選ばれるのでは……と思っていたが、その通りになるとさすがに驚きのほうが大きい。今度はクリスに肘で小突かれたヴィヴィはぴょんと音がしそうなほど勢いよく立ち上がると、目の前に座った村下と宮平に視線を合わせた。

「二人の分もパワーを貰って、絶対いい演技しますっ!!」

 そう言ってぺこりと頭を下げたヴィヴィに、皆から惜しみない拍手が送られた。

「めっちゃ応援するね!」と宮平。

「私、ヴィヴィの演技中、ずっとエネルギー送信する!」

 村下がそう言って両掌をヴィヴィに向けてかざし念を込めるように唸ったので、皆が明るい笑いに包まれた。
/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ