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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第113章          

※読者の皆様へ

だいぶ、キツイ展開になるかと思います。
体調に異変を来しそうでしたら、一旦この小説から離れるなどし、
お身体をご自愛頂けますよう、宜しくお願いします。
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 女子シングル FP、終了直後。

 会場のアイスガーデンから救急外来へと担ぎ込まれた時には、日付は変わっていた。
 
 ミュンヘン市街地から程近い、ドリッター・オルデン・ノタウフナメ病院。

 ヴィヴィが意識を取り戻したのは、昼過ぎで。

 一般病棟の個室らしきそこには、父が付き添ってくれていた。

「ヴィヴィ……、分かるかい?」

「……倒れ、たんだ、ね……?」

 ぼんやりした頭でも、会場のバックヤードに下がってからの記憶が無い事は、覚えていて。

「……ごめん……なさい……」

 ベッドの傍らに座っているグレコリーに、謝罪する。

 見るのも辛いくらい、父が憔悴しきっているのが見て取れて。

「ヴィヴィ……」

 娘の名を呼ぶその声ひとつにも、色々な感情を抑えているのが滲み出ていて。

「ごめん、なさい……」

 一瞬でもいいから全てから目を背けたくなり、目蓋をつむり謝罪する。

 今のヴィヴィが出来る事。

 それは、自分の非を認め、謝ることだけだった。


 



 ヴィヴィが病院のベッドで眠りの中に逃げ込んでいる間、

 クリスは朝からエキシビションのリハに参加し、

 団体戦2位、個人戦1位のメダリストとして、ずっとメディアの対応に追われていた。

 それはきっと、妹の矢面に立つ意味合いも込められていた。

 FP終了直後、意識不明に陥り救急車で運ばれる様子は、世界中で報道されていたし。

 滑走後の各国に対するインタビューを、ヴィヴィは1つも受けていなかった。



「何故、公式練習に出なかったのか?」

「いつから体調が優れなかったのか?」

「今どういう状態で、何の病気なのか?」

「個人戦の内容についてどう思っているのか?」

「3週間後に迫る、日本で開催される世界選手権に出場 出来るのか?」



 それらの情報を、メディアもその先にいる視聴者も、ヴィヴィに対して求めており。

 本人には知らされていなかったが、病院の前には多くの報道陣が駆けつけ取り巻いていた。




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