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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第113章          

「いいえ。お兄さん思いの素敵な妹さんだと思います。私は1人っ子ですから、本当に羨ましい」

 両親と、ヴィヴィとに分け隔てなく視線を送ってくる瞳子。

「そう? もうすぐ双子は瞳子さんの弟妹になるわ。特にヴィヴィ、初対面だから “借りてきた猫” みたいになってるけれど。ふふ、面白い子だから仲良くなれると思うわ」

 母の言葉に嬉しそうに頷いた瞳子は、真っ直ぐにヴィヴィを見つめ、改めて口を開く。

「ヴィヴィちゃん、大丈夫よ。私は匠海さんのことを、心から愛しているわ」

 そう発した大き目の唇は美しい弧を描いていて、

 見つめてくる焦茶色の瞳は淀みなくて、

「そうですか」

 ほうっと息を吐きながら、そう呟いたヴィヴィ。

「ええ」

「良かったです」

 念を押す様にじいと瞳子を見つめていたが、その言葉に嘘は無い様にヴィヴィには思えた。

「匠海さんに聞いていた通り、本当に可愛らしい妹さんね?」

 隣に寄り添う匠海に微笑む瞳子に、

「ああ、この世に産まれ堕ちた時から、天使の様な “自慢の妹” だよ」

 ちらりと自分の婚約者を見ただけで、すぐに実の妹へと愛おしむ瞳を送る匠海。

「兄さん……」

 常軌を逸する寸前の行いを窘める様に、クリスが呟けば、

「で、こっちが、俺の相手をイヤイヤながらしてくれる、兄孝行の弟のクリス」

 匠海の興味は、すぐにクリスの方へと移ってくれた。

「別に、イヤイヤって訳じゃ……」

「皆さん仲が良くて羨ましいわ」

 愉し気な声が響くライブラリー。

 ペールグリーンのワンピの上に乗せた掌を見つめながら、ヴィヴィは匠海だけを責めようとした自分に肩を落としていた。

 自分だって同じだ。

 自分だって、ずっと残酷な空想に駆られていたではないか。



(もし自分の下に、兄弟が出来たとして、

 もしその子が女の子だったとしたら、
 
 ヴィヴィ、その子を殺しちゃうかもしれない――)



 自分が “血の繋がった妹” だから兄が執着する――。

 思い詰めていたヴィヴィは、本気でそう考えてしまった。

 それがどれだけ酷い事だったか、今になって理解出来る。

 自分の誕生のその時の事を、こんなにも幸せそうに語って聞かせてくれる両親。

 そんな両親の愛の結晶を「殺しちゃうかも」なんて、一瞬でも思ってしまった自分。

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