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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第32章           

「今すぐチームの皆のところに行きたい気持ちは物凄く分かりますけれど、一応フィギュアは紳士淑女のスポーツですから。マナーは守らないといけませんね~」

『はい。時間をかけてジャッジとお客様にお辞儀をして、今度こそチームメイトの元へと飛んでいきました』

「15歳らしくて可愛らしいですね~」

『さて、スロー映像です。浅田さん、ジャンプはどうですか?』

「はい……アクセルは単独もコンビネーションも回転も足り、おそらく高いGOEが付くでしょう。三連続ジャンプはもうジャンプのお手本のようなジャンプでした。ただ、最後のトリプルルッツ……助走が途切れてしまい少し力づくで飛んでしまったため、若干軸がぶれましたね。高さはあります」

『なるほど……おや? キスアンドクライでは何かしていますね?』

「ああ、篠宮選手の『7つのヴェールの踊り』にちなんで、皆がヴェールをはためかせながらぐるぐると走り回っていますね~」

『篠宮選手も漆黒のヴェールを受け取って、はじける笑顔でベリーダンスの振り付けを踊っています』

「団体戦ならではの楽しさですね~」

『さあ、待ちに待った篠宮選手の得点です……138.94点! 女子シングルFPでは文句なしの断トツの1位。そしてこのポイントを加算すると――なんと、日本チームは第3位!!』

「素晴らしいですね! 篠宮兄妹は初出場で期待通りの活躍を見せてくれました!」

『本当ですね! 日本はオリンピック団体戦に初参戦で、銅メダル獲得――! 素晴らしい快挙です!!』

「あ~……でもあと2ポイントで2位のロシアに並べたんですね~」

『これは、悔しい! けれど国を背負うプレッシャーから解放された選手達は、皆満面の笑顔で抱き合い喜びを分かち合います!』

「皆、本当にお疲れ様でした!」






 団体戦の全ての競技が終わった30分後、会場では表彰式が行われていた。

「フィギュアスケート団体戦、銅メダリスト――日本」

 暗く照明が落とされた中、アナウンスが英語と韓国語でそう読み上げると、日本チームの10人がスポットライトに照らされた。

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