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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第113章          

 深夜3時を回った頃。

 ヴィヴィは白く心地良いそこから這い出し、寝室から暗闇の広がるリビングへと出る。

 その中で異彩を放つ、青く光る巨大な水槽。

 そちらにちらりと視線をやり、またすぐに左側に位置するそこへと歩を進める。

 オフホワイトの柔らかなショートパンツから延びる、真っ直ぐな脚。

 兄が「綺麗だ」といつも褒めてくれた、ヴィヴィが唯一自信のある身体のパーツ。

 それで踏み込んだその先には、漆黒のベッドで眠りに就くその人がいる。

「………………」

 闇に慣れた目で迷いなく進む先、何度か入った事のあるクローゼットの中、手探りで照明パネルをオンにする。

 暖かな光に照らしだされるクローゼット。

 ヴィヴィはぐるりと広いそこを見渡し、目的の物を探し始める。

 15歳の4月――あれからもう、4年も経った。
 
 妹としてしか自分を見てくれない兄と既成事実を持てば、必ず自分を女として見てくれる。

 そんな浅はかで独り善がりな妄執を胸に、幼い自分はここにいた。

 これから匠海を強姦する用意をする為に。

 そして4年たった今も、自分はあの時と同じ事をここでしている。

「……あった……」

 色とりどりのネクタイが並べられたそこ。

 大切そうに一番奥に置かれたそれは、15歳の自分が兄へ大学卒業祝いに贈ったもの。

 それをくるりと一重、自分の首へと巻き付けたヴィヴィは、もう用は無いと照明を落とす。

 明るかったクローゼットから外へ出ると、暗いそこに目が慣れるまでしばし時間を要し。

 扉に凭れ掛かったヴィヴィは、追憶に囚われる。

 あの時の兄は、Vネックのシャツに薄いスウェット地のパンツを纏っていた。

 身体には妹の自分を階段で庇った打ち身を負い、それでも必死にヴィヴィの狂行を止めようと抵抗していた。

 『サロメ』になりきっていた愚かな自分は、自分が両手首を拘束した兄の姿を目にし、

 あたかも古井戸に拘束されている預言者ヨカナーンの様だと、興奮していたっけ。
 
 長い睫毛を湛えた目蓋が、追憶から現在へと切り替えるために、ぱちぱちと瞬かれ。

 ゆっくりと歩を踏み出したヴィヴィは、躊躇せずキングサイズのベッドの上へとよじ登る。

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