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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第113章          

 3月27日(月)。

 白革のソファーでいつの間にか堕ちていたヴィヴィは、明け方に目を覚まし、

 何故か異常な求心力で引き寄せられたそこの前にいた。

 どこまでも広大で青い海。

 それを小さく小さく切り取り、その場に再現した海水魚の水槽。

 まだ自分の愛魚達は微睡んでいて、

 両の掌をべったり貼り付け、覗き込んで来る主などお構いなしなのに。

 何故か、海水に満たされた箱庭が羨ましくてならなくて。

 惚けた様に見入っていると、

「お嬢様……? そんな所で、何を……」

 5時ぴったしに現れた朝比奈の声に、ヴィヴィは水槽を見つめながら命令する。

「車、用意して……」

「……何処へ行かれるのです?」

 未成年の主に対する、その正当な執事の確認に、

「……用意、しなさい」

 静かな声で命令のみを繰り返す。

「…………畏まりました」

 言葉を飲み込んで退室していく朝比奈に、ヴィヴィはゆっくりとそこから立ち上がり、

 ウォークインクローゼットへと向かい、出掛ける準備を整え始めた。

 僅か10分で準備を整えたヴィヴィが階下へ降りると、

 どうやらクリスの準備を、他の執事と変わったらしい朝比奈がそこにいて。

 双子で共有している、白のレンジローバーの前に立ちはだかっていた。

「何処へ行かれるのです?」

 先程と一文字も違わぬ問いに、ヴィヴィは視線を落としながら呟く。

「……海……」

「こんな季節に、お1人で……ですか?」

 慎重な声音で続ける執事に、ヴィヴィはこくりと頷く。

「水槽観てたら、行きたくなっちゃって……。今日、ランチもディナーも、いらないから……」

 そう言い置き、脇を通り過ぎようとしたヴィヴィよりも早く、朝比奈は動き、

 何故か左の運転席へと乗り込んでしまった。

「………………」

 しばしその場で立ち尽くすヴィヴィ。

 けれど朝比奈は、締め切った運転席でエンジンをかけ始め。

 コツコツと爪先でガラスを叩けば、やっとウィンドウが下げられる。

「……なに、してるの……?」

 自分は車の手配を頼んだが、運転手は要していないぞ。

「お一人で行かせる訳にはいきません」

 何故か今日の朝比奈は、テコでも動かなさそうなしつこさで、

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