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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第113章          

「……どうして……?」

「……心配だからです」

 一瞬の躊躇ののち、返されるその返事。

「……何が……?」

「………………」

 ついに押し黙ってしまった朝比奈。

 本来執事があるべき姿――何事にも動じない精神。

 それを確実に逸脱する、その行為。

 ――ちょっと、執事としては失格なのではないだろうか?

「ふっ ヴィヴィが自殺でもするんじゃないかって?」

 そう自嘲気味に笑えば、

「はい」

「………………」

 そこだけは即答した朝比奈に、ヴィヴィの顔から即席の笑顔が剥がれ落ちる。

「お嬢様……」

「……好きにすれば……」

 脱力したヴィヴィは、肩を落として助手席側に回り込み、素直に乗り込んだ。

「葉山の別荘で宜しいですね?」

 何で判るんだろう。

 一瞬そんな疑問も覚えつつ、どうでも良くなったヴィヴィは、頷きながら目蓋を閉じた。






 渋谷ICから首都高に乗ったレンジローバーは、湾岸線を通り1時間ほど走って逗子ICで降りた。

 途中、ヴィヴィを車内に残し、朝比奈は最寄りのスーパーで食材等を買い込み。

 そして到着してから、ヴィヴィは気付いた。

 いつもならば匠海が前もって別荘の管理人に連絡し、清掃や空気の入れ替えを頼んでいたが。

「………………」

 まあいいかと、かつて知ったる暗証番号を打ち込み、玄関を開錠する。

 どこかじめっとした籠った空気の匂いに、微かに寄る眉根。

「すぐに清掃致します。お嬢様はその辺で……そうですねえ。邪魔にならないよう、大人しくしていらして下さい」

 何故かちょっと張り切って見えるのは、執事としての腕が鳴るからだろうか。

(邪魔にならないように、大人しく……)

「…………はい」

 えらく子供扱いされたにも関わらず、ヴィヴィはすごすごとリビングへと入って行った。





 それからというもの、ヴィヴィは1日中、リビングのソファーの上でぼ~っとしていた。

 きっと朝比奈からしたら「何しに来たんだ?」と突っ込みたくなるくらい、微動だにせず、

 ぼへ~と腑抜けた様に、ガラス越しの水平線を見つめていた。

「食欲無い……」

「食べないと、お尻ぺんぺんしますよ?」

 そんな何歳児相手の会話なんだか、不毛なやり取りを繰り返しながらランチを採らされ。

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