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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第113章          

「……お嬢様は、どうお思いなのです?」

「え?」

「その行為に心は無かった――そうお思いですか?」

「………………」

 ヴィヴィが膝の上で握り締めていたバスローブ。

 それを受け取った朝比奈は、主の華奢な肩を包み込む。

「私のお嬢様は、そんな事を出来る方ではございません。匠海様とのご関係は、決して許されるべき物では無かったでしょうが、それでも全てを踏まえて、お嬢様は匠海様を愛されたのでしょう。だから、躰の関係にまで至ってしまった――」

 バスローブ越しに肩を包み込み、きちんと瞳を合わせながら諭してくる朝比奈。

「……気持ち、悪くないの……?」

 そう問う声は震えていて。

「いいえ。全く。私がお嬢様を気持ち悪いなどと思う訳がありません」

 きっぱり否定する執事に、灰色の大きな瞳が当惑で歪む。

「……近親相姦、してたんだよ……?」

「お嬢様が小さな時から匠海様しか見ていなかったことは、一番近くでお世話をしていた私が一番存じ上げております。……もちろん、こんな結末を望んではおりませんでしたが……」

 “こんな結末”

 その言葉にヴィヴィの顔がかっと熱くなり、気付けば大声で叫んでいた。

「偽善者――っ!! ヴィヴィ、お兄ちゃんの寝室で毎週のようにセックスしてたんだよっ? ここでも何度もしたもんっ 血の繋がった実の兄を銜え込んで、喜ばそうと腰振ってっっ 中に出されて喜んでたっ!!」

「お嬢様――っ」

 自分の大声と大差無い声量で呼ばれた直後、

 ヴィヴィの躰は朝比奈の胸の中にあった。

「それでもです! それでも、私にとってのお嬢様は “可愛らしい少女” のままです。19歳の年よりちょっと幼めの、スケートが大好きな明るい女の子なんですっ」

「……――っ」

 広い胸の中、自分の為にそう必死に言ってくれる朝比奈に、ヴィヴィは絶句し、

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