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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第113章
一番愛着のあった馬蹄チャームのネックレスは、今や葉山の海に沈み、
ヴィヴィ自身と同様、永遠に誰の手にも渡らないだろう。
そして、
『喜びの島』の演奏と『庭の薔薇』は、今や自分だけの物ではなく、
世界中の人々や自分の家族のものとなり、これからも愛され続けることだろう。
そしてその3日後、4月1日(土)。
エイプリルフールのその日。
匠海は嘘でも何でも無く、篠宮邸を出て行った。
ちょうどその日。
新たな門出を祝うように、庭に1本だけ植えてあるソメイヨシノが開花していた。
桜。
それは、五輪のラストを飾るエキシビション。
滑る事の叶わなかった『花のように』で使う予定の花だった。
4月5日(水)。
前々日、前日の公式練習を経て、世界フィギュアスケート国別対抗戦2022は開幕した。
出場国の選考対象は、数ある世界大会で各国選手が獲得したポイントが高い国。
よって、五輪の団体戦順位と同じ国が出場することになった。
ちなみに、下記が五輪・団体戦の順位と各ポイント数。
1位 アメリカ 70ポイント
2位 日本 69ポイント
3位 カナダ 66ポイント
4位 ロシア 65ポイント
5位 フランス 48ポイント
6位 イタリア (フリー進めず)
日本チームの出場選手は下記の通り。
男子シングル――
宇野 昌麻(25)
篠宮 クリス(19):主将
女子シングル――
本郷 理香(26)
篠宮 ヴィクトリア(19)
アイス・ダンス――
マリア 渋谷(23)
アルフレッド 渋谷(27)
ペア・スケーティング――
棚橋 成美(31):副主将
マーヴィン 藤堂(33)
世界選手権を以て引退を表明した、羽生(はぶ) 結弦(29)は、スケジュールが合わず不参加となったが、
同じく今季限りの引退を表明している、
本郷 理香(26)
棚橋(31)・藤堂(33)組
の最後の公式戦でもある事から、チーム一丸となって優勝を目指していた。
よって、
バックヤードで気合入れした一行は、各々気合の入った応援グッズを手にしていた。