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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第32章           

 試合が終わって緊張の糸が緩んだのか、少し間延びした様子で尋ねてくる二人にヴィヴィは真っ赤に縁どられた口をぱくぱく開いては閉じを繰り返すだけで、声にならない。

(ヴィ、ヴィヴィのこと……誇りに思うって! ハ、ハグしたいって……!)

 急激に脈拍が上昇して苦しくなったヴィヴィは、スマートフォンを胸に掻きいだき、はあはあと荒い息を吐く。その明らかに変なヴィヴィの様子に、二人はぽかんとヴィヴィを見つめていたが、ヴィヴィはそんなことには気づいていなかった。

(ヴィヴィのこと……思いっきり抱きしめたいって――っ!? キャ~~~っ!!!)
 
 じたばたと一人で騒がしいヴィヴィを見つめ、女子選手たちが一言。

「春だね……」と村下。

「うん、春だね……」と宮平。

「若いって、いいなぁ~」と棚橋。

「ヴィヴィ、彼氏から~?」とマリア。

 そんな皆の声が届かず一通り舞い上がったヴィヴィが、

「は、鼻血、出る……」

 と真っ赤な顔でのぼせ上がった様に口走ったので、その場に居合わせた女性陣は皆呆れながら零したのだった。

「「「「男だね……」」」」


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