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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第33章        

 2月10日。

 ヴィヴィ、村下、宮平の女子シングル3選手は、朝の8時に羽田空港に降り立った。約2時間という短いフライトではあったがやはりオリンピックという舞台は特別のようで、祖国に降り立ってほっとした3人には疲労の色が滲み出ている。

 JOC(日本オリンピック委員会)のご好意にてビジネスクラスで帰ってきた3人は、入国手続きをして荷物を受け取ると、カートに乗せたスーツケースを押して空港ロビーへと出た。

 そこにあったのは人だかりの山、山、山。

 通路を確保するためのポールに押し寄せる人々を、警備員が見張っている。そして観衆は3人の姿を確認するや否や、黄色い歓声を上げながらカメラのシャッターを切りまくる。

「うわぁ……」

「出国するときと帰国する時の扱い……違いすぎない?」

「まあ、メダル取っちゃったからね……」

 三人は口々に冷静な感想を漏らしながらも、各々可愛らしい顔に営業用スマイルを浮かべる。日本代表の水色のジャケットと白のスカートやパンツを纏った三人は空港での記者会見をこなすと、個人戦での健闘を誓いそれぞれの家路についた。

 ヴィヴィは牧野マネージャーと空港からタクシーに乗り込むとその足で、シニアに上がってからお世話になっている整体師のもとへと向かった。ヘッドコーチのジュリアンと柿田トレーナーは3日後に個人戦を控えるクリスに付き添い、韓国に残っている。

 結局ヴィヴィが屋敷に帰りついたのは15時だった。ぐったりとしたヴィヴィだったが家族同然の家令や使用人一同に迎え入れられると、それぞれに心を籠めて感謝の言葉を伝えた。そしてふらふらと私室の寝室へ引っ込み、文字通りベッドに倒れこんだ。

(つ、疲れ……た……)

「お嬢様……お気持ちは分かりますが、せめてお着替えを――」

 そう声を掛けた双子付きの執事――朝比奈だったが、その主がすうすうと小さな寝息を立てていることに気づきその先を続けるのをやめた。

 白いグローブに包まれた手で器用にヴィヴィが纏った水色のジャケットをその腕から引き抜く。しゅるりと衣擦れの音を立てながら首元で絞められたネクタイを解いて抜くと、苦しくないように白シャツのボタンを3個ほど開けた。

「………………」

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