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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第113章          

 ふと視界に入った、自分の黒髪。

 衝動的に染めたそれは、自分の決意を固める為と、

「貴方の愛したヴィヴィは、もういない」と、兄に解らせる為にしたものだった。

 けれど、どれだけ外見を変えても、当たり前だが中身は1つも変わらない。

「………………」

 人の幸せを祝福出来ない人間に、なりたくない。

 自分の大切な人の幸せを祝福出来ない人間にだけは、なりたくない。
 
 綺麗事だとは解っていても、やはりそう思いたいし、そう有りたい。

 きっと、以前のヴィヴィならば、そんな事は絶対に思わなかった。

 匠海を痛みと引き換えに力ずくで強姦した、心底ガキだった自分では。

 けれど、

 そう思えるまでになったのは、

 やはり自分が匠海に “女として愛された” という事実があったから。

 本当に愛してくれていたと、解るから。

 今となってはそれだけは、自信を持って言えるから。

 今は無くても、

 あの時の兄は、

 ちゃんとヴィヴィへの愛を持っていて、それを見せて存分に与えてくれたから。

 自分は知っている。
 
 自分はこの19年間、匠海の妹として、恋人として共に生き、

 彼がどういう人間かを知っている。

 不器用で、やきもち焼きで、嫉妬深くて、甘えん坊で、我が儘で。

 きっと、匠海は “自分に自信が無い人間” なのだと思う。

 そしてヴィヴィは、そんな匠海を知ってもなお、心から愛していた。

( “自分を殺す” って……、難しいな……。

 いっそもう、お兄ちゃんの目の届かないところに、行ければいいのに――)

 転校も考えた。

 大学を休学して、数年 海外に渡ろうかとも思った。

 けれど匠海との事以外は、何も不自由を感じていない自分の恵まれた環境を思えば、

 どれも明確な答えが出せず、進退を決められず。

 そうして一杯いっぱいになったヴィヴィは、

 取り敢えず目の前の事から一旦距離を置くために、
 
 こうして英国へと逃げて来たのだ。





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