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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第113章
「一体誰に? クラスメイト?」
ジュリアンのその問いに、
「まさか――っ!? ……1学年上の、女子の数人、だけ……」
ぱっと顔を上げたヴィヴィは咄嗟に否定し、やがて尻すぼみになってしまう。
「2年生……? もしかして、その人達が駒場キャンパスにいる1年間、ずっと……?」
1~2年生は、駒場キャンパス、
3~4年生は、本郷キャンパス、
となる為、彼女達が3年に上がってからはそのような事は無くなっていた。
クリスの顔から血の気が引いていくのが、悲しいほど容易に見て取れて。
ヴィヴィはまた双子の兄の心労を増やしてしまった事に、自分が情けなくて仕方なくなる。
「……でも、もう、終わった事だし……」
1年生の終わり頃――つまり、彼女達が3年生へと進級する寸前、
ヴィヴィは校内のカフェで、その首謀者と対面していた。
その頃のヴィヴィは、アサイーボウルにはまっていた。
栄養士も「アサイーはポリフェノール、鉄分、食物繊維、カルシウムが豊富だから、食べていいよ」と言ってくれていて。
食べた後はちゃんとメールで報告し、カロリーオーバーも防いでいた。
その日、いつものようにランチ後に、学食へ買いに走ったヴィヴィだったのだが。
『ごめん、ヴィヴィちゃん。今さっき、売り切れたばっかりなの~~っ』
顔見知りになった店員のお姉さんに、両手を合わして謝られ。
『え~~? そんなぁ~~……orz』
大げさにカウンターに突っ伏したヴィヴィを、お姉さんは『よしよし、ごめんねえ?』と優しく慰めてくれていた。
(ヴィヴィの、食後のお楽しみが……。唯一のお楽しみが……ぐっすん)
名残惜しそうにお姉さんに別れを告げたヴィヴィだったが、何故か背中に強烈な視線を感じ。
振り返ったそこにいたのは、ヴィヴィご所望のアサイーボウル持った宮崎 佳苗。
――6月の頭からずっと、自分の陰口を叩いている女子達の、リーダー格の生徒だった。
『………………半分こ (¬_¬) 』
じと目でボウルと佳苗の顔を見比べるヴィヴィが怖かったのか、
『……~~っ!? な、なんで私が……っ』
いつもの彼女らしくない戸惑った様子に、ヴィヴィは内心首を傾げ、
諦めて踵を返し、とぼとぼと元来た道を戻り始めた。