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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第114章 ★★2015年 バレンタイン企画★★
よって、20歳で大学のDUTを修了した純也は、就学中にアルバイトで貯めた資金を元手に、オランダへと旅立った。
そう。
オランダに在る
The International Butler Academy(執事養成学校)で学ぶ為に。
取り敢えず、当初の目標をホテルマンと見据え、一級のサービスマナーを身に着けんと入学した学校だったが、
その厳しさは想像を絶するものだった。
同期は15名。
一番の若手は20歳の自分で、最高齢は56歳のエジプト女性という、国際色も年齢層も幅広い面々だった。
執事学校の学長は、アメリカ、オーストリア、ドイツ、オランダでプロの執事として16年勤めた経歴を持ち。
その内、ドイツでは なんとアメリカ大使館の執事長を務めていた。
その学長直々に扱かれる事は非常に光栄で、
更に1340年に建造された歴史ある城での実地研修という、恵まれた教育環境だったのだが――
燕尾服一式を着込み かつ 寸分の狂いなく身だしなみを整え、3分以内に集合とか。
(どこの軍隊ですか……)
シルバートレイにグラスを乗せた状態で早足で歩き廻り、投げられる数々のボールを避けるとか。
(何個グラスを割ったことか……)
頭に本を乗せた状態で(シルバートレイとグラスは標準装備)階段を駆け上がってみたり。
燭台、フラワーアレンジメント、数種類のワイングラスにナイフとフォークで ごった返すテーブルセッティングは、
1mmの狂いも許されぬ為(学長に怒鳴られる)にメジャーを用い。
本来なら数時間掛かる8人席のセッテインングを、10分以内に熟す技術を習得する為、連日鍛え抜かれた。