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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第114章 ★★2015年 バレンタイン企画★★
「♪お片付けの歌~~♪」
いきなり、そう歌い始めたヴィヴィに視線を戻す。
「おや、そんな歌があるのですか?」
「うん、今ねえ~~、ヴィヴィが作ったの!」
得意げに顎を上げたヴィヴィは、ガッチャガッチャと木の皿を拾い集めながら歌い出す。
「♪お片付け~お片付け~♪ ♪面倒臭いけど おっ片付け~♪」
賑やかなヴィヴィに、クリスの傍にいる林が ぷっと吹き出し。
「なんですかそれ」と可笑しそうに突っ込めば、幼女は更に調子に乗り始める。
「♪ワンワンがポンポン壊しちゃうから、お片付け~♪
♪ニャンニャンがホネ折ちゃうから、お片付け~♪」
(腹下し に 骨折……? なんだか、穏やかじゃないですねえ)
変わった自作の歌に苦笑しつつ、視線を移せば。
きゃっきゃと賑やかな妹に、ふと顔を上げたクリスと目が合った。
「クリス様も お片付けする時に歌うのですか?」
「………………」
朝比奈の問いに何故か軽く首を傾げたクリスは、そののち フルフルと首を横に振った。
「♪朝比奈がウルサイから、お片付け~♪」
「……――っ」
どうやら えらく “面倒臭い執事” と思われてしまったらしい。
スーツの肩をガックリ落とした朝比奈に同情してか、林が代わりを買って出て来た。
「お歌がお上手ですねえ、ヴィクトリア様は。では、私もお手伝いしましょう」
「やった~! ♪ラクチンラクチン お片付け~♪」
ぴょんと その場で飛び上がったヴィヴィ。
抱えていた木製の冷蔵庫を片した朝比奈は、また元の定位置――クリスの傍へ戻り。
「朝比奈……かく……」
そんな愛らしい事を言ってくれたクリスの前で、言われるがままにポーズをとるのだった。
ただ、
(ク、クリス様……。どうして このポーズで……?)
そう胸の中で突っ込まずにはいられぬ、まさかの「orz ガクリ」ポーズを取らされた朝比奈は、複雑な心持ちだったが。
それでも至極 真剣な表情を浮かべ、デッサンを始めたクリスの姿は、やはり愛らしかった。