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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第114章 ★★2015年 バレンタイン企画★★
結局 1ヶ月後にはヴィヴィの “イヤイヤ病” は なりを潜め。
それからのヴィヴィは “悪魔の3歳児期” が嘘だったかの様に、本来の素直で柔軟な子に戻ってくれた。
執事が用意した洋服も、文句も言わずに着るようになったし。
苦手なピーマンも、涙を浮かべながら頑張って食べるようになった。
歩けるようになる前から通っているリンクでは、転んでも倒れても、
母 兼 コーチであるジュリアンに喰らい着いていく双子の姿には、感銘を受けたし。
日々、上達していくスケーティングは、自分の事のように嬉しかった。
朝比奈がフランスで育った事を知ると「フランス語教えて?」と知識欲も現れ始め。
「お昼寝し過ぎて眠れないの」と、毎晩 添い寝を求める仕草も愛らしかった。
「朝比奈~? 朝比奈、どこぉ~~?」
しばらく自分達の執事の姿が見えないと、クリスと一緒に心細そうに探し回り。
「お2人とも、ここにおりますよ」
所用から戻り姿を現せば「あ、朝比奈いた~~♡」と、にっこり笑ってくれる。
常に信頼の眼差しで見上げてくる、2対の灰色の瞳を曇らせぬ様に、
(自分はお2人に対し、常に誠実であらねば――)
そう身の引き締まる思いが芽生えたのも、自然の成り行きだった。
双子が揃ってインフルエンザに罹り。
1週間 寝ずの看病を続けた朝比奈が、今度はインフルエンザに罹りぶっ倒れ。
それを知った双子が号泣し、周りが手を付けられなくなり。
結局その日、知恵熱を出した双子は、ベッドに逆戻りになった想い出も。
下ろしたての小学校の制服を、友人達と悪戯し、
その日に破って帰って来た事も。