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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第114章 ★★2015年 バレンタイン企画★★
(結婚、ですか……。相手もいないのに、どうしろと……)
篠宮邸に戻った朝比奈は、だいぶ情けない悩みを抱えていた。
日本に来て、かれこれ8年。
その間、朝比奈に浮いた話が1つも無かった――訳では無い。
どうやら自分の容姿は、日本人女性には評判が良いらしい。
俳優の真山 明大を “寝起きで顔をむくませた” ら似てそうだとか。
ドラマ「ハチクロ」の向井 理を “一発どついた” ら似てそうだとか。
はたまた、
ドラマ「鈴木先生」の長谷川 博己を “マイルドにすれば” 似ているだとか。
――ちなみに、
日本の俳優を殆ど知らなかった朝比奈は、同僚達に画像を見せて教えて貰い、
自分が似ているという “彼ら” が、どんな容姿なのか知ったのだった。
双子が幼少の頃は、朝比奈の方も「恋愛のレの字」も意識する余裕が無かったが。
2人がBST初等部へと進学し始めた頃から、自由に出来る時間も増え。
一応、日本人女性と恋愛もした。
ただ、残念なことに、
どれもあまり長続きしなかったのだ。
(う~~ん。何故なのでしょうね……?)
粛々と仕事を熟しつつ、物思いに耽っていると。
「「ただいま~~!」」
玄関ホールの方角から いつもより10分も早く、元気な帰宅の声が響いてきた。
「お帰りなさいませ。クリス様、ヴィクトリア様」
一足先に出迎えたメイドに続き、朝比奈が迎えに出れば、
「ただいま~、朝比奈!」
初等部6年生(11歳)にして160cmの高身長を誇るヴィヴィが、ぱっと顔を輝かせて寄って来る。
紺色のカーディガンを羽織った、タータンチェックのワンピ制服に包まれた身体。
それを一言で表現するならば「薄っ」
ここ1年で5cmも身長が伸びた双子は、一時「膝痛い~」「胸の骨痛い~」と、嘆き。
見守るこちらが変わってあげたくなるくらい、辛そうだった。