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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第33章        

(そ、そんな小っちゃい頃のこと――!?)

「お、覚えてないもん!」

 そう会話をしながらも、無意識にか匠海の指先はヴィヴィの膝を辿っている。その手つきに厭らしさは全く感じないが、ヴィヴィにとっては大好きな匠海から触れられているだけで信じられないくらい気持ちよかった。

 男性にしては細く形の良い指先がヴィヴィの膝から下をゆっくりと辿っていく。

(ん……っ!)

 またヴィヴィの躰がずくんと疼く。今度はより鮮明に感じた刺激。それは自分の大事な場所――女である証しでもある場所にじくじくとした熱を溜め込ませるもので。

 油断すると変な声が漏れてしまいそうなほど、匠海の指に心が震える。ヴィヴィはぎゅっと自分のパーカーの袖口を握りしめて、残酷に与えられ続ける甘い刺激に耐える。

(ふぁ……ほ、ほんとに鼻血出ちゃうから――!!)

 もうどうしていいか分からず涙目になり始めたヴィヴィは、上から降ってきた匠海の声に夢見心地の世界から引き戻される。

「細い脚……」

「え…………?」

 いきなり話題を変えた匠海にヴィヴィが見上げると、匠海はショートパンツから剥き出しのヴィヴィの左足を撫でながらしげしげと見つめていた。

「いや……こんな華奢な脚で、よくあんなに高いジャンプが飛べるなと」

 そう不思議そうに疑問を述べる匠海の瞳は、今も好奇心たっぷりにヴィヴィの足に注がれている。

「細くても瞬発力のある筋肉なのか?」

 匠海は一人でそうぶつぶつ言いながら、サイドテーブルからシャンパングラスを取り上げて中身を飲み干している。

(ひっ……! ちゃんと永久脱毛しているけれど、しているけれども――っ!!)

 もし万が一でも匠海にチクとか、ザラとかいう手触りを感じられてしまったらと、ヴィヴィは気が気ではなくなった。なんだか酒の肴になってしまっている自分の足を隠そうと、素早くくるぶしでくしゃくしゃになっていたニーハイソックスを両手で掴むと、ささっとひざ上まで引き上げる。

 そして匠海の顔を、涙を溜めた上目使いで睨んだ。

「お、お兄ちゃんの、えっち……」

 そう小さく呟いて両膝を引き寄せ三角座りをして匠海の手から逃れたヴィヴィに、匠海が灰色の瞳を眇める。

「は……? 兄が妹を撫でて、何が悪い?」

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