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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第33章
全く悪びれずそう言い切った匠海に、ヴィヴィは熟れ過ぎたトマトのように真っ赤になりながら「え、えっちなものは、えっちなんだもん……」と両ひざに顔を埋めて負けずにもごもごと口の中で繰り返す。
「まだ言うか? そんな可愛くない事を言う妹は、こうしてやる~!」
そう恐ろし気なことを口走った匠海に、ヴィヴィは「何事っ!?」と身を竦ませたが、突如猛烈なこそばゆさに襲われた。
「あはは! やめてっ! おっ、お兄ちゃん、やめてってば~~っ!!」
ヴィヴィの細い腰を左右からわしゃわしゃとこそばし続ける匠海に、ヴィヴィはきっちり30秒こそばされ続け、やっと解放された頃には暴れまわって可愛らしいルームウェアも金色の髪もくしゃくしゃになっていた。
「し、信じらんない……!」
自分を「えっち呼ばわり」した妹を懲らしめてすっきりした顔で見下ろしてくる匠海を、ヴィヴィは涙目できっと睨みあげる。
「お兄ちゃんはそろそろ、ゆっくりシャンパンを飲んで大人の時間を楽しみたいから、お子ちゃまは早く寝なさいね」
さんざんいたぶったヴィヴィに急に興味を失った素振りの匠海は、そう言うと自分の上からヴィヴィをひょいと持ち上げてどかすと、立ち上がって近くに置かれていた銀のシャンパンクーラーからボトルを取り出し、ナプキンで雫を拭った。
「―――っ!? お、お兄ちゃんの酔っ払い!」
ヴィヴィは負け犬の遠吠えの如くそう言い捨てると、こそばされすぎて抜けそうになる腰に叱咤を打ちながらへろへろと自分の部屋へと避難した。
「はいはい、オヤスミ~」
ヴィヴィの背に適当な就寝の挨拶を投げて寄越した匠海を、ヴィヴィはキっと振り返ると「い~~だ!」と白い歯を見せて自分の部屋へと引っ込んだのだった。
その後、
「やっぱりヴィヴィをからかうの、面白いな~」
と匠海はグラスを傾けながら人の悪そうな笑みを浮かべていたのだが、それはヴィヴィの知るところではない――。