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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第36章     

 けれど時は無情にも過ぎ、ヴィヴィの得点がアナウンスされる。

「The score of her free skating program is ―― points.」

 ひゅっ。

 ジュリアンが息をのむ音だけが、隣から妙にクリアに聞こえた。

(え…………?)

 ヴィヴィの耳には何故かFPの得点が届かなかった。

(何点って言ったの……?)

 握りこんだ掌の中が、じっとりと汗をかく。

 小さな頭の中でぐるぐると先ほどのアナウンスの声が鳴り響くが、肝心なスコアの部分だけが再現されない。

 だからと言って、瞼を上げて自分で得点を確認する勇気もヴィヴィにはなかった。

(駄目……だったの……?)

 ぎゅうと胃が締め付けられる感じがして、手で咄嗟にお腹を庇おうとした、その時――。

「ヴィヴィっ!!!」

 感極まった悲鳴のような声を発したジュリアンに驚き瞼を開いたヴィヴィは、コーチに抱きしめられていた。

「Great! Unbelievableー!!」

 興奮したジュリアンが、ヴィヴィの細い体を折れそうなほど強い力でかき抱く。

(え……?)

 咄嗟に開いてしまったヴィヴィのグレーの瞳に映りこんだのは、キスアンドクライの後ろに座っていた観客の上気した顔。

 手が真っ赤になりそうなほど、必死に拍手を送ってくれている観客。

 盛大に日の丸の旗を振る日本人の中には、涙を滲ませている者までいる、

「凄いわ! ヴィヴィ、あなたはゴールドメダリストよ――!!」

 コーチのその声に導かれ、ヴィヴィは恐る恐る振り向いて電光掲示板に目をやる。

 視界が焦点を結び、RANK1という文字を認識する。

 そしてその刺激はニューロンを伝い、脳へと送信される。

 RANK1

 1stPLACE

 1位

(ゴールドメダリスト――っ!?)

「ai……I don’t know !  a ……unbelievable――!!」

 大きな瞳を見開き、目の前のモニターを見直す。

 何度見なおしても間違いない。

「う……そ……」

(金メダル……本当に、取っちゃった……)

 全身から力が抜け、引き締めていた口元の力が抜け口元が緩んだ。

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