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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第37章
女子FPの二日後――2月22日。
先日まで激戦が行われていたリンクでは、エキシビションが行われた。団体戦と個人戦の上位5位の選手達が華麗な舞を披露するその贅沢な時間は、大成功で幕を閉じた。
そして双子は翌日の閉会式にも参加した。式の最後、4年後に冬季オリンピックが行われるドイツ=ミュンヘンのへのバトンタッチセレモニーを鑑賞し
「4年後も絶対、二人で来よう」
と誓い合った。そして近くにいたフィギュア日本チームの皆に
「だから、二人だけの世界、作るなって! 俺らも混ぜろ~!!」
と毎度のお叱りを受けた。
閉会式の翌日に帰国した日本チームは、午前中に空港での記者会見を終えると、各局のニュース番組等に出演した。
その日の深夜2時に帰宅した双子は、さすがにジュリアンから「明日は朝練しなくていいわ」と許しを得て翌朝8時まで爆睡したのだった。
(あ~……夢の中でまで、質問に応えてた……)
翌朝ベッドの中で目を覚ましたヴィヴィは、先程まで夢の中でアナウンサーに聞かれた質問に真剣に応えていた自分に嘆息し、のろのろと起き上った。
スプリングの上に座り込んで、ぼ~っと遮光カーテンの引かれた暗い室内を見るともなしに見つめる。
「今日……何日だっけ……」
寝起きの少し掠れた声が、静かな寝室に響く。
(ええと、閉会式の翌日の翌日だから……2月25日……?)
指折りそう数えると、急に目が覚めた。世界選手権はもう2週間後に迫っている。そしてずっと行けていなかった学校へ行って、必要な出席日数も確保しないといけない。
ヴィヴィはう~んと一つ大きな伸びをすると、ベッドから這い出して学校へ行く準備を始めた。
双子がそろってBST(ブリティッシュスクール イン 東京)へと登校したのは20日ぶりだった。
午前中の授業などそっちのけで、慰労会やら祝賀会やら歓迎してもらい、双子のクラスルームの周りには高等部のみならず、隣の校舎から中等部の生徒達が詰めかけて大変なことになった。
「オリンピックのメダルって、凄いんだね……」
「ね……」
双子は他人事のようにそう呟きながらも、久しぶりに直接顔を合わした幼馴染兼クラスメート達と心行くまでリラックスした時間を過ごした。