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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第39章
「ん……? あ、ヴィヴィがね、休み時間に『デートってどんな事するの?』って聞いたら、みんなでチューターグループ(日本で言うホームルーム)の時間を使って教えてくれたの」
「チ、チューターグループ? って、先生も一緒に?」
どんだけ自由な学校なんだ……と匠海は心の中で突っ込む。
「チューターグループなんだから当たり前でしょ? あ、そういえば、先生からの注意事項があるよ」
「な、何?」
嫌な予感がするのかどもった匠海に、ヴィヴィはくるりと後ろを振り向くと、匠海の腰に両腕を巻きつけてぴたりとしがみ付いた。そして匠海を見上げて悪戯っぽく笑う。
「『避妊はちゃんとしなさいね』っだって」
「ぶほっ!!」
匠海が間抜けな声を発して咽る。
「お、お前……デートの相手、俺だって言ってるのか?」
「言ってないよ。っていうか『ヴィヴィがデートする』とは一言も言ってないもの。『デートってなにするの?』って聞いただけだもん」
ヴィヴィは悪戯っぽく小さな舌をペロッと出して笑った。
「はあ……パスタ茹で始めるから、離れなさい」
「え~……、もうちょっと、『いちゃいちゃ』するの」
ヴィヴィはそう言って駄々を捏ねると、匠海の胸に顔をうずめた。
本当はヴィヴィだって、こんな風に甘えるのは2年ぶりだし、恥ずかしい。胸だってどくどくとこれ以上ないほど煩い。
(けれど、今日は……)
「俺達は兄妹なんだから、それはしなくていいの」
ヴィヴィの肩をぽんぽんと叩く匠海は、そう冷静に返してくるだけでハグしようともしてくれない。
「え~……したい」
ヴィヴィは寂しくなって、さらに匠海の黒いバスローブの腰にしがみついた。
「まったく……聞き分けのない子は、こうしてやる」
そう言った匠海は、何を思ったのか自分の左手でヴィヴィの鼻から下を覆った。
ヴィヴィが「んっ!」と可愛い声を上げて胸をときめかせる。が、それも一瞬で――、
「に、ニンニク臭い~!!」
ばっと匠海から離れたヴィヴィは、自分の鼻を両手で覆ってそう叫んだ。
「あはは、言うこと聞かないからだ。顔洗ったら取れるかもよ?」
匠海はしてやったりとニヒルに笑うと、「もう、お兄ちゃんのバカ~っ!」と泣き声を上げながらバスルームへと走って行ったヴィヴィに構うことなく、調理を再開した。