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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第39章
顔を洗って戻ってきたヴィヴィは、今度はおとなしく対面のカウンターに腰かけて匠海の手捌きを見つめていた。
(すご~いっ!)
パスタを茹でるのと、パスタソースを作るのを同時進行で行う匠海はかっこ良かった。
盛り付けまで綺麗にやった匠海は、ヴィヴィの目の前にパスタを置く。
「ほら、ダイニングに運んで」
「は~い」
ヴィヴィは素直にパスタ皿を後ろのダイニングテーブルへと運んだ。
匠海がサラダボールと取り皿を持ってやってくる。
「美味しそうっ!!」
瞳を輝かせてそう言うヴィヴィの前には、
トマトとアンチョビのガーリックパスタ、
ロメインレタスのシーザサラダ、
が置かれていた。
「飲み物はこれでいい?」
匠海が見せたガス入りのミネラルウォーターに、ヴィヴィが笑顔で頷く。目の前でシュワシュワと涼しげな音を立てて氷の入ったグラスに注がれた水の中に、匠海が何かを入れた。
「さっき、ヴィヴィが取ってきたミントだよ」
「あ! いいね」
「じゃあ、頂ます」
「いただきます!」
二人は手を合わすと、食事を始めた。
「すんごい美味しいよ! なんでっ!?」
ヴィヴィはパスタを食べては悶絶し、サラダを食べては頬を押さえて満面の笑みを浮かべて喜びを露わにする。
「味見ちゃんとすれば、誰でもできると思うけど……ま、ヴィヴィには無理か……」
「むぅ……」
匠海の指摘に、ヴィヴィは唇を尖らせる。
「あはは。ミント付いてる」
ヴィヴィの薄い唇に小さなミントの葉の欠片が付いているのに気付いた匠海が、苦笑してヴィヴィに手を伸ばす。
「取れた?」
「取れた」
その後、すべて平らげたヴィヴィは、満面の笑みで、
「ご馳走様でした! ほんと、美味しかったよ、ありがとう!」
と匠海にお礼を言う。
「ヴィヴィの舌にあって良かったです」
匠海はそうおどけて食器を片付けようとする。
「あ、ヴィヴィが洗うよ。洗うのは得意!」
「いや、食器洗い機があったから、入れちゃえばいいよ」
「分かった」
二人は協力して片づけると、リビングへと移動してソファーに座った。
「今、気づいたんだけど……」
ヴィヴィはクッションを胸に抱え込むと、ふとそう声を漏らす。