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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第39章
頭の片隅で「辞めなさい! 絶対に言っては駄目!」と冷静な自分が警鐘を鳴らしている。なのに、
(もう……止まらない……)
「私はお兄ちゃんのこと、男の人としか見れないって言ったら?」
「………………」
ヴィヴィの独白に、匠海が凍りついたように動きを止める。
「だから……見ないでって、言ったのに――っ」
「ヴィ、ヴィ……?」
まるで八つ当たりをするようにそう言い募るヴィヴィに、匠海が掠れた声で尋ねてくる。
(お兄ちゃんが、悪いんだから――)
ヴィヴィは自分の顔を包んでいる匠海の両手を、ギュッと自分のそれで握りしめる。
まるで、ここまで自分を追い詰めたのだから、その責任から目を背けることなど許さないとでもいう様に――。
「貴方が……好き……」
匠海の掌の中、ヴィヴィがくしゃりと顔を歪めながらも、必死に見上げてくる。
そして、ヴィヴィは口にしてしまった。
「お兄ちゃんが、好き、なの……」
その言葉が、
これから先何十年も自分と周りを狂わせる、
禁忌を呼び込む言葉となるとも知らずに――。