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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第40章
匠海の掌をそっと自分の頬から滑らすと、自分の細く白い首に添える。
そして自分のもう片方の掌を、匠海の首へと添えた。
「ヴィヴィ……」
匠海が途方に暮れた様な表情で、ヴィヴィの名前を呼ぶ。
ヴィヴィの細い掌に、喉仏が動くごりごりとした様が伝わってくる。
「ずっと、触れたかった……」
そう言い募るヴィヴィの薄い唇が、小さく震える。
「男らしい喉仏も……綺麗な鎖骨も……」
そう言いながら、ヴィヴィは匠海の喉から鎖骨にかけて掌と指先で辿る。
「………………っ」
匠海が息を飲むのが微かに指先に伝わる。
ヴィヴィはそこで手を止めると、掴んでいた匠海の掌を自分の細い首筋から薄い皮膚の下にある鎖骨へと這わせる。
暖かい匠海の掌がヴィヴィに体温を分け与えていくように、触れたところからヴィヴィの体が徐々に熱くなっていく。
匠海の咽喉から瞳へと視線を移す。
自分と同じ灰色の瞳は少し見開かれ、ヴィヴィの鎖骨に注がれていた。
匠海はまるでヴィヴィに魅入られたように、抵抗してこなかった。
「そして……いつもヴィヴィを抱きしめてくれる、逞しい胸も……」
ヴィヴィは匠海のジャケットの中に手を這わせると、シャツの上から、掌全体で引き締まった匠海の胸に触れる。
柔らかな皮膚の下に存在する固い胸筋に、ヴィヴィの胸がどくりと鳴る。
そして匠海の掌も辿らせる。
ヴィヴィのバスローブの襟から覗く細い鎖骨から、その下の自分のささやかな膨らみへと――。
白いバスローブの下に滑り込ませた匠海の掌の感触に、ヴィヴィの長い睫毛がふるりと震える。
まだ誰にも触れさせたことのない、小さな乳房――それに確かに触れている、兄の暖かく大きな掌。
「お兄ちゃん……好き……」
匠海の大きな掌に添えた自分の掌で、ヴィヴィはさらに乳房を押し付ける。
少し硬さを含んだ胸の小さな尖りも、匠海の掌に潰され、押し返される。
「ヴィヴィに、触れて……?」
「ヴィ……ヴィ……?」
呆然とした表情でヴィヴィを見下ろしてくる匠海を、ヴィヴィは潤み始めた瞳で縋るように見上げた。
そして兄妹の関係を徹底的に壊すであろう一言が、その艶やかな唇から零れた。
「ヴィヴィを……抱いて――?」