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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第40章       

 そう拗ねたような声音で匠海の耳元で囁いたヴィヴィは、我慢できなくて目の前の匠海の耳たぶを舌で舐めた。

 ちゅっちゅっとリップ音を立てて吸い、たまに甘噛みすると匠海の逞しい体がぶるりと震えた。

 匠海の腕がヴィヴィの細腰へと回され、ギュッと引き寄せられる。

 そしてヴィヴィが待ちわびた場所へは、焦らしたご褒美とでも言うように、つぷりと匠海の指先が第一関節まで埋められた。

「ひゃぅんっ! あ……っ あぁ……ぅんんっ」

 ヴィヴィの下半身にずくりとした気持ち良さが広がる。

 まるで頭の中が一瞬にして、全て真っ赤に塗られたようだった。

(お兄ちゃん指が……ヴィヴィの中……入って……)

 ヴィヴィの脳裏に、いつもピアノの鍵盤を滑るように叩く、匠海の繊細な指が思い起こされる。

 その記憶によりさらに躰に火が付いたヴィヴィの膣壁は、まるで匠海の指を味わい尽くそうとでも言うように、吸い付き蠢く。

 幼いくせに淫猥なそこを堪能するように、しばらくじっとヴィヴィの膣に収められていた匠海の指が、ゆるゆると挿入をし始めた。

 そこからもたらされる感覚は、今までに経験したことのない、信じられないような快感だった。

(お兄ちゃんっ! お兄ちゃん! ……っ)

「ぉ……兄ちゃ……っ!!」

 ヴィヴィの唇が匠海の耳元で、その名を甘く囁いた瞬間――。

 ばっと音がしそうなほど素早く、匠海がヴィヴィから体を離した。

 ヴィヴィには何が起こったのか咄嗟には分からなかった。

 ただ、触れ合っていた匠海の熱い体が離れたことにより感じる寒気に、ぶるりと自然に震えが走る。

(え…………?)

 まだうっとりとした快楽に酔いしれていたヴィヴィは、緩慢な動作で匠海を見上げる。

 目の前の匠海は、先ほどまで熱に浮かされたような瞳は愕然と見開かれ、形の良い唇は色をなくし、ぶるぶると震えていた。

 手を伸ばして触れようとするヴィヴィから、匠海は怯えたように体を引く。

「お、兄ちゃ……ん……?」

 怠惰な濡れた瞳のまま不思議そうに見上げるヴィヴィから、匠海は顔を背けた。

 その綺麗な顎のラインは、小刻みに震えている。

「どうかしていた……」

「お兄、ちゃん……?」

 匠海の言動の意味が分からなくて、ヴィヴィはまた縋り付こうと腕を伸ばす。

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