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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第41章      

「あ~、サングラスして、帽子かぶって、マスクすれば大丈夫かもね」

「そんな二人がデートしてたら……余計目立つって……」

 凭れ掛かったままのクリスが冷静に突っ込む。ヴィヴィは斜め上に視線をやり、二人がその恰好をしている想像をしてみるが、確かに変質者のようで目立ちそうだった。

「じゃあどこに行きたいかは、GW明けまでにお互い考えるということで」

「OK。楽しみだな……」

 そう可愛い返事をしてくれたクリスに、ヴィヴィは微笑んでくしゃりとその髪を撫でた。
 
 16時きっかりに真行寺は篠宮邸に現れた。

 クリスは午後からアレックス達クラスメイトと出かけたらしく留守だった。もしこんな場所を見られたら「僕との『デート」を差し置いて!」と拗ねてしまわれただろうから、ヴィヴィはほっと胸をなでおろした。

 車寄せに止められた青のボルボに乗せられ、二人は出発した。

「どこか行きたいところある?」

 運転席の真行寺が優しい声で尋ねてくれたので、ヴィヴィは素直に、

「水族館……行ってみたいです」

と主張してみた。

「じゃあ、サンシャイン水族館でいいかな? 行ったことある?」

「ないです。行ってみたいです」

 信号で車が止まると、真行寺はナビをセットした。

「真行寺さんらしい、美しい車ですね」

 ヴィヴィは車内をちらりと見まわして口を開く。

「そう? ありがとう。ボルボって北欧デザインの温かみがあるって言われるんだけれど、これはスポーティーさも兼ね備えて気に入ってるんだ」

 確かに真行寺の言う通り、シートや内装のシルエットが洗練されて美しかった。

「スウェーデンの車でしたっけ?」

「そう。匠海さんのBMWも流線型が美しくていいよね」

「そう、ですね……」

 いきなり匠海の話を振られ、ヴィヴィは少しつかえてしまった。

「会って早々で悪いんだけど……間違っていたら、ごめんね?」

「え?」

「ヴィクトリアちゃん……匠海さんと喧嘩でもしてる?」

「………………」

「やっぱりね。なんかおかしいと思ったんだ。『あの』匠海さんが僕なんかに、ヴィクトリアちゃんを引き合わせてくれるなんて」

「あの……?」

 ヴィヴィは意味が分からず真行寺を見返す。

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