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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第43章
「うあぁっ……あ、……な、何……?」
先端を口に含んだまま上目使いで見上げると、匠海は唯一自由の利く頭だけを持ち上げてこちらを覗き込んでいた。
ランプ一つの薄暗い寝室の中、ヴィヴィと匠海の視線がかち合う。
その途端、匠海の灰色の瞳が見開かれた。
「なっ!? 何をしているんだ、ヴィヴィっ!?」
やっと目が覚めて置かれた状況を把握したらしい匠海が、自分の股間に顔を埋めているヴィヴィに厳しい声を浴びせる。
ヴィヴィはそれには答えず、根本のほうの竿を両手で撫で擦ると、小さな口を使ってじゅぶじゅぶと音をさせながら匠海のそれをいたぶった。
その責めに堪らず、匠海が頭を仰け反らせる。
「や、やめ……ろ……ヴィ、ヴィ……っ 頼む……っ!」
途切れ途切れにヴィヴィを抑止する言葉を発しながらも、ヴィヴィからもたらされる快感に身悶えする匠海に、ヴィヴィの鼓動はどんどんと高まり、胸の中を何か得体のしれない熱いものが満たしていく。
しかし病み上がりの匠海の息遣いがあまりにも苦しそうなのを感じ取り、ヴィヴィは仕方なく口内の唾液を飲み下し、ゆっくりと口から匠海の欲望を引き抜いた。
実妹の手による拷問のような快楽から解放された匠海は、少し充血した目に信じられないといった色を湛え、ヴィヴィに向ける。
「何、馬鹿なことをしてるんだっ!」
両腕を拘束された匠海は、必死で頭を持ち上げながらヴィヴィに怒鳴る。
しかしそう言われたヴィヴィは両手を匠海の太ももに置くと、ゆっくりと上半身を持ち上げて匠海と対峙した。
飲み下せなかった唾液が、桃色の唇の端から顎を伝い匠海の腰へと滴り落ちる。
唇に張り付いてしまった長い金髪を指先で緩慢に払うと、ヴィヴィは口を開いた。
「お兄ちゃんの、ここ――舐めてる……」
そう端的に自分の行為を説明するヴィヴィには、悪びれたところが一切なかった。
そのヴィヴィの異常とも思える反応に、匠海の瞳が徐々に見開かれていく。
「ど、どうして……自分が何をしているのか、分かっているのか……?」
何故か少し怯えを含んだその声音に、ヴィヴィは微かに首を傾ける。
その瞳は普段の明るい灰色とは違い、どす黒く濁っているように昏い。