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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第43章
「気持ち、いいでしょう……?」
「え…………?」
無表情のままヴィヴィが答えた返事に、匠海が咄嗟に声を漏らす。
「こうやって、触れられると、気持ちいいでしょう――?」
両太ももに置いていた掌を匠海の昂ぶりに添え優しく撫でさすると、匠海の腰が震える。
「や、やめ……ろっ!」
苦しそうにそう止める匠海だが、目の下がどんどん赤く火照り、明らかにヴィヴィの手による快感に身悶えているのが見て取れた。
制止されてもさらに匠海の欲望に顔を近づけていくヴィヴィに、匠海は焦ったように腰を動かして上半身を上へとずらせた。
そのせいで今までピンと張っていた拘束している紐が弛み、匠海の腕が少し自由になる。
さらにベッドヘッドのほうへと体をずらせた匠海は、幾重にも重ねられた羽毛枕とベッドヘッドへとその上半身を凭れさせ、ヴィヴィとの距離を取った。
「どうして……? 何で、逃げるの……?」
小さな声でそう言い募るヴィヴィは、匠海の足の間に座り込みながら匠海を見つめる。
「どうして……? 当り前だろう! 妹が過ちを犯しているのに、見逃せるわけがないだろうっ!」
「過ち…………?」
不思議そうに聞き返すヴィヴィに、匠海の整った美しい顔が歪む。
「物事の善悪も、つかないのか……? 妹が実の兄のこんなところに触れるなんて、過ち以外の何物でもないだろっ!」
そう言いながら匠海は必死に拘束された腕を自分で解こうとするが、どう頑張っても右手と左手が届くことはない。
ヴィヴィは暫く匠海の様子を静かに見下ろしていたが、やがてその視線はついと下ろされ、匠海の脛(すね)へと到達する。
そしてそこに手を伸ばして少し押すと、匠海が痛みで身を強張らせた。
「――っ!! ヴィ、ヴィヴィ……やめろっ!」
苦痛に顔を歪めた匠海が、苦しそうに訴える。
「痛いのが嫌だったら、大人しくヴィヴィに任せて――」
「―――っ!」
自分を庇って階段から転落した匠海に、あまりにも酷い仕打ちをするヴィヴィに、匠海が息を呑んでヴィヴィを凝視する。
そんな視線をもろともせず膝立ちになったヴィヴィは、匠海の太ももを跨いでその上に腰を下ろした。