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第43章 　 　 　　　　　　

　イク寸前で生殺しのように放り出された匠海は、蓄積された熱を持て余すように、拘束された二の腕に顔を埋めて必死に耐えていた。

「もう……やめ、て、くれ……」

　今までヴィヴィにそんな風に懇願したことのない匠海の願いを聞いても、ヴィヴィの心は変わらない。

「出しちゃ、駄目……」

　やっている事と言っている事がちぐはぐなのにも構わずヴィヴィが発した言葉に、匠海は振り向いて自分の肩に凭れ掛かっているヴィヴィを見下ろした。

　やっと視線を合わせた匠海に満足したように、ヴィヴィの口角が上がる。

　その常軌を逸したような表情に匠海は目を逸らせず、吸い寄せられるようにヴィヴィを見返してくる。

　ヴィヴィは匠海に預けていた上半身を離すと、匠海の瞳を見据えながらゆっくりと兄の太ももから腰を浮かせた。

　上から匠海を見下ろしながら、ヴィヴィは踝丈の薄いナイトウェアをゆっくりとたくし上げていく。

　静かな室内に軽い衣擦れの音だけがする。

　ヴィヴィの足の付け根まで露出したところで、匠海が気づき「やめろ」と制止するが、ヴィヴィは聞かずに腰まで裾をたくし上げた。
　
　薄暗いランプの明かりに照らされて、無駄な肉一つついていないヴィヴィの太ももが白く浮かび上がる。

　そしてその上には、鈍く光る金色の薄い毛が顔を覗かせている。

　匠海はまるで悪魔にでも魅入られて目を逸らせないかのように、ヴィヴィのそのまだ幼さの残る肢体を、絶句しながら見つめていた。

「やめろっ！」

　やがて大声を上げてヴィヴィを制し顔を背けた匠海に、ヴィヴィは静かすぎる声で話しかける。

「ヴィヴィ、もう子供じゃないよ……？　見て……お兄ちゃんを受け入れる準備、出来てるの……」

　そう言い終わったと同時に、匠海の昂ぶりにぱたと何かがかかる。

　はっと背けていた視線を自分のものへと向けた匠海の目の前で、またヴィヴィから雫が糸を引きながら滴り落ちた。

　粘度を持ったそれは匠海の昂ぶりの先を濡らすと、ランプの光を鈍く反射しながらゆっくりと根元のほうへと伝い落ちていく。

「ヴィ、ヴィ……」

　匠海はあまりのヴィヴィの痴態に混乱したように、その名前を呟くことしかできないようだった。