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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第45章
4月27日(月)。
体調の戻ったヴィヴィは朝練こそ休んだが、BSTへ登校した。
「Good Morning クリス、ヴィヴィ! あれ……? どしたのその首?」
教室へ入るや否や、クラスメイトのジェシカにそう声を掛けられる。ヴィヴィは喉にまかれた包帯に、すっと手を添えた。
「ああこれ? 一昨日、窓ちゃんと閉めずに寝ちゃって。蚊に刺されて掻き毟っちゃったみたい」
「え~、ドジっ子!」
ジェシカがそう突っ込んでカラッと笑う。
「でも、分かるわ~。寝てるときって理性が働いてないから、痒かったりしたら無心で掻き毟っちゃって、起きてから後悔するという……」
近くにいたケンが「オレ花粉症シーズン、めっちゃ目掻いちゃう」と同意してくる。
「首、見せてって言っても、見せてくれない……」
隣のクリスが悲しそうにヴィヴィを見下ろしてくるが、ヴィヴィは「だ、だってミミズ腫れっぽくなってて、汚いもん」と慌てて言い訳する。
「あ、ヴィヴィ! 金曜のパーティーなんだけどさ~?」
遠くの席にいたカレン達に呼ばれ、ヴィヴィはクリスと別れて駆け寄った。
「なあに?」
「夜のパーティーなんて初めてでしょ? みんなでどんなカッコにするか、考えてるんだけど」
そう言ったお洒落好きなケイトは、瞳を輝かせている。
「ああ、えっとね~。夜だから、室内のパーティーにするみたい。あと、装飾は白黒っぽくするかな」
ヴィヴィは朝比奈から見せてもらった絵コンテを思い出す。あの絵では真紅の薔薇だったが、白に変えてくれというヴィヴィの要求は通ったらしい。
「へ~、なんか夜だと余計ワクワクするよね?」
「するする!」
皆の顔が楽しそうで、ヴィヴィはほっとする。
「ヴィヴィは、どんなドレスにするの?」
「えっと、黒にする」
実はまだドレスを決めていないヴィヴィだったが、なんとなくその色以外は着る気になれなかった。
「へ~、ヴィヴィ、いつも淡い色が多いから、珍しいね?」
「ふっ。ヴィヴィももう、16歳……大人の女だからね」
ヴィヴィはそう得意げに言うと、制服に包まれた薄い胸を反らす。