この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第45章
「………………」
一人になったヴィヴィは、近くにあったソファーにぽすりと腰を下ろす。
(お兄ちゃん……今頃、何してるんだろう……)
本来ならばこの場にもいた筈の、もう一人のパーティーの主役。
匠海の事を思うと自然に胸元に手が伸びる。そして、そこにあるはずの物が無いことに落胆し、手が滑り落ちる。
(きっと、新しい場所で新しい友人に囲まれて、幸せになってくれている。きっと、その筈……)
無理やりそう思い込もうとぐっと瞼を閉じた時、
「ヴィヴィ!」
と名前を呼ばれた。
はっと瞼を開けたヴィヴィが、きょろきょろと頭を巡らす。
「ヴィヴィ! なんか弾いて~?」
離れたところ、グランドピアノの傍にいたカレン達が、ヴィヴィを手招きしているのが目に入った。
「よ~し、何弾こうかな~?」
ヴィヴィは小さな顔に笑顔を張り付けて立ち上がると、また腸の縫いぐるみをぶんぶん振り回しながら、友人達の元へと歩を進めた。