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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第46章         

 5月2日。

 ロシア第二の首都、サンクトペテルブルグのプルコヴォ空港に降り立った双子は即効、振付師のジャンナがいるリンクへと向かった。

 約1週間お世話になる予定のそのリンクは、とても設備が充実している。
 
 なんと5つもリンクがあるのだ。ここに来始めた当初、日本とはスケールが違いすぎると思ったが、アメリカやカナダでも同様と聞いて驚いたものだ。

 ここにきて4年目となるので、双子もそれぞれ顔見知りができて交友関係も広がっていた。

 リンクに到着すると、何人ものスタッフや生徒、コーチから「オリンピック、金メダルおめでとう!」と祝福の声を掛けられた。それぞれに笑顔でお礼を言い再会を喜んでいると、各リンクを結ぶ長い廊下に、ドドドドっという重低音が響いた。

 驚いて視線を音のするほうへと向けた双子に、突進してきたジャンナが飛びつく。

「いらっしゃ~いっ! クリス、ヴィヴィ!!」

 巨大な体で体当たりされるように抱きすくめられ、双子は目を白黒させながら「「ご、ご無沙汰してました」」と返した。

 バシバシ背中を叩かれやっと解放された双子は、ジャンナに「これ日本土産」と大量の菓子折りを差し出す。

「WOW!! あんこね? あんこっ、そうなのねっ!?」

 ジャンナはそう叫ぶように言うと、蕩けそうな笑みを浮かべた。なぜか日本のあんこが大好物なジャンナは、嬉しそうに受け取ると、「後で頂きましょ」とアシスタントに渡して二人をカフェへと導いた。

「本当に、先シーズンはお疲れ様だったわね~、二人とも」

 ソファーを勧めてくれたジャンナの前に座った二人に、彼女はそうねぎらいの言葉をかけてくれた。

「本当に、ジャンナのおかげです」

 心からそう言ったヴィヴィに、クリスが大きく頷く。

 その後、二人の近況等を報告し、今シーズンの振り付けに話が及んだ。

「今回は、ヴィヴィから振付しようかしら。いつも何故かクリスからだしね」

「え、あ……はい」

「僕も、構いません」

 双子がそれぞれ了承する。そんな二人をその緑色の目でじっと見つめてきたジャンナに、双子はそれぞれ首を傾げる。

「クリスもヴィヴィも、それぞれが振付を受けている間、観光でもしてきたら?」

「え……?」

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