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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第46章         

 翌日から2日かけ、ヴィヴィの振り付けは、とんとん拍子に進んだ。

 すべて振付が終わると、次のクリスのFPの振り付けが終わるまでの間、ヴィヴィはジャンナのアシスタント達に細かいところを見てもらいながら、のびのびと過ごすことができた。

 ある日、午前中のレッスンが終わってカフェで休憩していると、顔見知りの生徒3人がやってきた。

「ヴィヴィ、何見てるの?」

「ん~、『“つむ”をもったオーロラ姫の踊り』の動画、見てる~」

 ヴィヴィは生徒達にiPadの画面を向ける。小さい頃に演じたとはいえ、バレエの振り付けの大部分が記憶の彼方に飛んでいたヴィヴィは、DVDで確認していたのだ。

「バレエって、マイム(振付)、面白いよな~」

 ヴィヴィからiPadを取り上げた男子が、それを皆に見えるように向けながら、『“つむ”をもったオーロラ姫の踊り』のアフレコをする。

「『それ何? 頂戴。うふふ、私、“つむ”持って踊っちゃうんだから。なあにママ? こっちに渡しなさいって? い・や・よ。痛たっ!! あ、刺さったわ! “つむ”がささったわ! 痛い、痛いのよ~っ! ここよ、ここ! よく見て、血、出てるでしょ? ああどうしましょう! くるくる回っちゃうんだから~。だって痛いからね~。あ~目が回るわ~。おばさん誰? ああ、眠いわ、眠い~~(-_-)zzz……』」

 その見事なアフレコに、一同爆笑する。

「え~、じゃあ、これは? これもアフレコして!」

 ヴィヴィは面白がって、『オーロラ姫の目覚め』の動画を流す。

『ねてるよ? 綺麗だけど、寝てるよ?』とデジレ王子

「チューすればいいのよ」とリラの精。

『チュー? チューすれば起きるんだね?』

「そうよ。思いっきり、ブチュ~っとやっちゃって!」

 その男子が面白がって熱演するため、周りには多くの生徒達がやってきた。その後もいろんなマイムのアフレコをしてくれたその生徒達に、ヴィヴィは、

「あはは、もうやめて~っ! ヴィヴィ、FP滑るたびに思い出しちゃう!」

と涙を浮かべながら笑いを堪えて、頼み込んだのだった。





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