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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第47章          

「「双子プログラム――っ!?」」

 ロシアから帰国した翌日、双子はそうハモると、それぞれ灰色の瞳を驚きで見開いた。

 松濤リンクのミーティングルームには、いつも通りの『チーム双子』のメンバー――ジュリアンコーチ、サブコーチ、牧野マネージャー、柿田トレーナーがいる。

 そしていつもと違うのは、中京テレビのプロデューサーに、(牧野が所属しているマネジメント会社)INGの広報スタッフ、スケ連の幹部も同席しているということだ。

 30分程前から、今年の7月後半に行われるアイスショー、THE ICE2019の出演交渉が行われていたのだが、その内容を聞いて驚いた。

 双子それぞれのエキシビションはもちろん、グループナンバーへの出演、そしてトリとして双子のプログラムを披露して欲しいとの要望だった。

「えっと……浅田さんは、出ないんですか?」

 THE ICEは、ヴィヴィが大ファンの浅田真緒を、心行くまで楽しめるアイスショーとして立ち上げられた筈。

 そして彼女のペアプログラムが見られる、唯一のアイスショーとしても有名だった。

「勿論、出演しますよ。浅田さんの引退後は、彼女のプロデュースで開催していますからね」

「ですよね……じゃあ、双子プログラムはいらないんじゃ……?」

 ヴィヴィは率直にそう言う。

「その浅田さんが、絶対にお客さんが喜んでくれるから、『ぜひとも双子プログラムをやって欲しい』との要望なんです」

「えぇ~っ!?」

 プロデューサーの言葉に、ヴィヴィは絶叫した。

(真緒ちゃんが、私達のペアプログラム、見たいって……?)

 ヴィヴィはソファーから腰を上げると、目の前のテーブルに両手をベチっと音を立ててついた。

「や、やりますっ! 真緒様の仰ることは、絶対ですっ!!」

 必死な表情でそう言い募ったヴィヴィに、

「えっと、僕の意見は……」

 隣のクリスが、無表情でそう突っ込む。

「クリス~、やろ~よ~」

と、ヴィヴィがクリスの腕を引っ張ってぶんぶん振り回すと、

「やるけど……」

とクリスは即答した。

(やるんじゃん……)

 そこにいた大人全員が、心の中でクリスにそう突っ込んだ。

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