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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第47章
「で、ヴィヴィの今の体重は?」
ジュリアンが柿田トレーナーに話を振る。ペアプログラムとなれば、クリスがヴィヴィをリフトする必要性が出てくるからだろう。しかし、柿田トレーナーが口を開くよりも先に、ヴィヴィが、
「Top secret !!」
と遮った。
(LADYの体重を、こんな大人数の前で公表するか~!?)
そう心の中で突っ込んだヴィヴィだった。が、何故か隣で立ち上がったクリスに、両脇に手を入れられてひょいっと持ち上げられてしまった。
「ん~……45kg?」
そう言ってヴィヴィを下したクリスに、柿田トレーナーが、
「ご、ご名答……」
と驚いて頷く。
(人間体重計か――っ!?)
ヴィヴィが心の中で叫ぶ。
「で、クリスは?」
サブコーチの質問に、クリスは「185cmの60kg……」と答え、そこにいる全員に「細っそ!!」と突っ込まれた。
そんなこんなで双子のペアプログラムを創ることになり、振り付けはペアのコーチもしているジュリアンと、双子がバレエのレッスンでお世話になっている、バレエ教室の代表にお願いすることになった。
そして忙しい合間をぬって、双子はデートに出かけた。
『人が多いところは避けたほうがいいかも』
というヴィヴィの助言を聞き入れたクリスは、ずっとやってみたかったというロッククライミングへと、ヴィヴィを誘った。
ヴィヴィは初めてのことに悪戦苦闘しながら、それでも妙な解放感と達成感を与えてくれるロッククライミングに夢中になって、楽しい時を過ごした。
ランチは『マクドナルドに行ってみたい!』と言うヴィヴィに、実はクラスメイトの男子と何度か訪れていたらしいクリスが連れて行ってくれた。
遅いランチを取った双子が次に向かったのは、なんと篠宮邸の庭だった。
「え……? ここでデート?」
とヴィヴィは驚いたが、
「ヴィヴィ……膝枕……」
と甘えてきたクリスがあまりにも可愛くて、ヴィヴィは勿論してあげた。
5月はちょうど薔薇が咲き誇る季節。
我も我もと競うように咲き乱れる薔薇達に、このところずっと振り付けで忙しいヴィヴィの心も解れる。
そよそよと吹く風がクリスの暗めの金髪をそよがせ、ヴィヴィはそのサラサラの髪を指で梳いた。