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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第48章
そのまま拘束された状態で数分経ち、混乱していたヴィヴィの思考はようやく甦ってきた。
目の前にあるのはグレーのスーツの襟、白シャツ、紺のネクタイ。
そこから微かに香る香水と匠海自身の香りが、ヴィヴィの嗅覚に触れる。
(お兄、ちゃん……だ。
ここにいるのは、自分を抱いているのは、
ヴィヴィが大好きな、お兄ちゃん……)
躰を蝕んでいた震えは徐々になりを潜め、ヴィヴィの躰が落ち着きを取り戻していく。
しばらくしてほとんど震えが治まったヴィヴィは、小さく身を捩った。
それを感じた匠海が拘束していた腕を緩め、その中で恐る恐る顔を上げたヴィヴィを、じっと見下ろしてくる。
「俺が、怖いか……?」
先ほどまでの苛立ちが感じられない、静か過ぎる声だった。
ヴィヴィは匠海の瞳を見上げ、ふるふると小さく金色の頭を振る。
「……怖く、な、い……」
ヴィヴィのその声だけが、まだ微かに震えていた。
(お兄ちゃんになら、何をされたっていい……。
そうだ……。
私は一体、何を怖がっていたのだろう……)
匠海の両腕が、ヴィヴィの躰から解かれスプリングの上へと落ちる。
ヴィヴィは匠海の灰色の瞳にひたと視線を合わせる。
そして一瞬の躊躇の後、ゆっくりと自分の薄水色のナイトウェアの裾を両手で手繰った。
初夏用の薄い素材のそれが音もなく捲くられ、ヴィヴィの白い太ももが徐々に露わになる。
匠海がヴィヴィの瞳からそちらへと視線を下す。
兄に見つめられながら、ヴィヴィは両膝を上げて揃えた。
三角に折った下半身からナイトウェアが滑り落ち、その奥、ナイウェアと共布の、薄水色のレースが施されたショーツが露わになる。
匠海は決心を見せてきたヴィヴィの躰をベッドの淵からずらし、羽枕を幾重にも重ねたベッドの中心へとその上半身を凭れさせた。
ヴィヴィは揃えていた両膝を少しずつ開き、その下の爪先をさらに外へ開く。
ヴィヴィの白い爪先がシーツを滑る、すっという小さな衣擦れの音が小さく鳴る。
拳大に開かれた両膝の下、肩幅ほど開けられた膝下の奥に露わになったショーツに、ヴィヴィの細い指が伸ばされる。
秘所を覆う布をゆっくりと指先で横へとずらしたヴィヴィは、おずおずと匠海を縋る様に見つめた。