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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第49章           

 クローゼットから出たヴィヴィは、朝比奈が準備してくれたバスルームで入浴を済ませ、就寝準備を整えた。

「それでは、お休みなさいませ、お嬢様」

「おやすみなさい、朝比奈」

 ニコリと笑って朝比奈を見送るヴィヴィの目の前で、リビングの扉が閉められた。

 白石のマントルピースの上に置かれた時計を見ると、12時30分を指していた。

「………………」 

 しばらくの間リビングに立ち尽くしていたヴィヴィだったが、やがて寝室へ下がろうとルームシューズに包まれた足を踏み出した。その時、

 コンコン、と固いノック音が耳に届いた。

 ヴィヴィはゆっくりと視線を音のした方へと移し、静かに歩み寄ると、躊躇なく扉を開く。

 そこに立っている長身の匠海を見上げると、一瞬の躊躇の後、扉付近にある自分のリビングの照明パネルをオフにした。

 二人の境界である扉を閉めて先に寝室へと入っていく匠海の後を、ヴィヴィは静かに付いていく。

 なんとなく、今日もそうなるんじゃないかという気はしていた。

 昨夜と同じく、ベッドサイドのランプのみの薄暗い寝室。

 そして遮光カーテンが引かれた窓際に凭れ掛かった匠海は、ベッドが据えられた方に視線を向けていた。

 昨日命令されたように、ヴィヴィは自分でベッドの上に登る。

「………………」

(男の人を、どうやったらその気にさせられるのか、誘惑できるのか、

 本当は、よく分からない……けれど――)

 ベッドヘッドと羽枕の山に上半身を預けると、踝まである薄紫色のナイトウェアの裾をゆっくりとたくし上げていく。

 白くて真っ直ぐな膝下……小さな膝頭……細い太もも。

 自分で見せつけているのに、恥ずかしさが募ってきて、裾を握る手が止まってしまう。

(誘惑……しなきゃ……)

 ヴィヴィの躰が小刻みに震えだす。

 足の付け根まで裾を上げると、そこから柔らかそうな金色の恥毛が覗く。

 ナイトウェア以外何も身に着けていないヴィヴィに気付いたのだろう、匠海が窓枠から離れてゆっくりとヴィヴィの傍まで歩いてきた。

 ヴィヴィはそちらに視線をやると、匠海のことを潤んだ瞳で見上げる。

 そして横座りをしていた両膝を胸の前に引き寄せると、透き通るほど白い臀部を晒す。

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