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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第8章         

『お兄ちゃんが私を抱かなければ! そうすれば、こんな気持ち、気付く筈、無かったのに――っ!』

『…………初美?』

 訝しげに見つめる兄に、妹はとうとう本音を口に出してしまう。

『あの日から、お兄ちゃんの事しか考えられないのっ! 夢に……、夢にまで出てきて、私の中に――っ』

 ぼろぼろと涙を零す妹を、兄はただ驚嘆し見つめていた。

『初めはショックばかりで、嫌、だったの……。でもお兄ちゃんが必死に、私を求めている顔を見ちゃったら、どんどん、どんどん心の中に入ってきちゃって――っ!!』

 その言葉が言い終わらぬ内に、妹は兄の胸の中に抱かれていた。

『お兄ちゃん……、私のこと抱いて? いっぱい愛して? もう誰も私の心に入らないように、お兄ちゃんだけでいっぱいにしてっ!』

 そして、コミックのラスト。

 2人はセックスをして終わっていた。

 紛れもなく実の兄妹は、色んな体位で繋がっていた。



 結局、最後まで読んでしまったヴィヴィは、ぱたんと音を立ててコミックを閉じた。



 信じられなかった。

 “近親相姦は罪” ではなかったのか?

 血の繋がった実の兄妹が恋に落ちることなど、あるのだろうか?

「………………」






(お兄ちゃん、と……?)






 あの日見た光景が、脳裏によぎる。

 女の膣に深々と突き立てられ、何度も出し入れされる匠海の欲望。

 良いところを重点的に擦りあげられて、いやらしい蜜を滴らせる女の躰は、

 何故か抜けるほど白く、そしてあまりにも華奢だ。

 満足そうに兄が見つめる その視線の先にあるのは、

 黄金色の髪をふり乱した――自分(ヴィヴィ)。



「あ、あぁ……お兄ちゃっ んんっ …………あ、ダメ! あぁン」

 匠海のものを受け入れて善がり狂うヴィヴィは、必死で兄に縋り付くが、

 あまりに激しい責めに、意識をやる寸前で。

「ああ、ヴィヴィ。いいよっ すごい……っ 締ま……るっ」

 びくびくと胎内で脈打つ匠海を、きゅぅうう と締め上げてしまう。

「あぁッ お、おにぃちゃ――っ!!」






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