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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第49章
(抱いてほしいの……。
どんな形でもいいから、傍にいさせてほしいの……。
だから、お願い――っ)
その想いが苦しくて、ヴィヴィの胸がぎゅっと締め付けられる。
そんなヴィヴィの気持ちを知ってか知らずか、匠海の大きな掌がヴィヴィの背中から金色の小さな頭へと這わされる。
掌で撫でられていたかと思うと、指で髪を梳かれる。
時折皮膚の薄い頭皮をまさぐられる様に指を這わされ、ヴィヴィの躰が違う意味でふるりと震えた。
(好き……頭、撫でられるの……。お兄ちゃんの、大きな掌……大好き……)
ヴィヴィは匠海の撫でてくれる手にうっとりと酔いしれ、匠海の逞しい胸に頬を寄せる。
しっとりとしているのにハリのある、男の人の綺麗な胸。
匠海が裸で抱きしめてくれるだけで、ヴィヴィにはとてつもなく気持ち良かった。
ゆったりと自分に躰を委ねてきたヴィヴィを感じ取ったらしい匠海が、抱擁を解くと、ヴィヴィを羽枕の上へと凭れさせた。
「お兄ちゃん、好き……」
ヴィヴィは真っ直ぐに匠海を見つめ、うっとりと桃色の唇を開く。
「五月蠅い」
「大好き……」
「黙ってろ」
ヴィヴィの言葉をそう捩じ伏せた匠海は、大きく襟ぐりの開いた薄紫のナイトウェアを、指先に引っ掛けてずらした。
細いゴムだけのそれは簡単にヴィヴィの肩から外れ、その下の小さな膨らみが露わになる。
「あ……だ、ダメ……っ」
ヴィヴィはそう小さく叫ぶように言うと、咄嗟に胸の前に両腕をかざした。
「何が? 俺の好きなようにしていいんだろう?」
先ほどのヴィヴィの言葉尻を取って意地悪く迫る匠海に、ヴィヴィは頬を朱く染め、それでもなお言い訳する。
「……っ ヴィヴィ、胸小っちゃいし……」
拒否する理由が恥ずかしすぎて、まるで拗ねるような口ぶりで釈明したヴィヴィに、匠海は即答した。
「知ってる」
「―――っ!?」
何を今さらと呆れ果てた顔を覗かせる匠海に、ヴィヴィが絶句する。
「小っちゃくて、柔らかいんだろう?」
「え……?」
「自分で言ったのに、忘れたのか?」
匠海の言葉にヴィヴィは内心首を捻る。
「あんなに俺の前で、自分で胸揉んで挑発したくせに」
(あ…………!)