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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第50章
双子も真似てみるが、腰を触られたヴィヴィが、くすぐったがって逃げる。
「はい、真面目にやる!」
ジュリアンにぴしゃりとやられ、双子は「「すみません」」と謝り、成田・下城ペアに着いていく。左右逆のポジションも難なくこなせた。
「じゃあ、次は難しいわよ。ワルツポジション」
社交ダンスのホールドと同じように、男性は右手を女性の肩の後ろを支えるようにし、左手は女性の右手を取る。女性の左腕は男性の肩の上に軽く置く。
成田・下城ペアに続き滑り出してみるが、
「あ……僕、バックになるのか……」
ヴィヴィと向き合いホールドを組んで滑ると、クリスは後ろへ向かって滑ることになる。そしてワルツポジションを組んだままターンすると、逆にヴィヴィがバック滑走になる。
「む、難しいっ!」
ヴィヴィはターンした前後の位置関係がすぐさま把握できず、目を白黒させる。
「これ難しいけれど、今回はワルツだから、とにかくなんとかして習得してね」
(とにかく!? なんとか!?)
双子がジュリアンの適当な発言に目を見合わせる。
「と、とにかく、毎日練習しよう……」
「う、うん……」
双子はそう言い合って、自分達だけで気合を入れた。
「じゃあ次は、ツイズルね~」
(あ、これなら何とか……いつもやってるし)
サイドバイサイド(二人が隣り合い同じ技を行なう)で、双子は同じタイミングからツイズル(回転しながら横へ移動)をしてみる。
「うわぁ……見事にバラバラ……」
ジュリアンがやっぱりね~という表情で、そう突っ込む。
「う~ん。クリスがヴィヴィに合わせてみて。まず、右足フォアインサイドから」
カウントに合わせてヴィヴィはいつも通り滑ってみる。すぐ隣からクリスの滑走音が聞こえるのが、なんだか不思議だ。
「次、右足フォアアウト……、足変えて、左足フォアイン……左足フォアアウト……」
ヴィヴィも視界に入るクリスに合わせるよう、意識しながら回転する。
「あら、結構合ってるじゃない!」とジュリアン。
「そうですね。もうちょっと練習すれば見栄えもするし、使えますね」と吉野先生。