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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第50章
「あ゛~~、どうしてぇ……orz」
ヴィヴィは氷に手をついて悔しがったが、他にも双子で練習することは山ほどあり、クリスにずるずると手を引かれ、コーチ陣の元へと連れて行かれた。
その後、簡単なリフトを試してみたり、陸で振付を習ったりして夜の練習は終了した。
「いやあ、いい絵が撮れましたよ。また振付が完成した頃、取材させてもらいますね」
テレビクルーの人からそう言われ、ヴィヴィは、
(あ~……、すっころんだ3回転アクセル、使われるんだろうな……)
とへこんだのだった。
篠宮邸に帰宅した双子は就寝の挨拶をして、それぞれの私室に下がった。
ヴィヴィはいつも通り、就寝支度を手早く終わらせる。
そして、最近双子のHPを更新しておらず、今日ついに牧野マネージャーに
『僕がヴィヴィの代わりに書いてもあげても、いいんだよぉ~?』
と地獄の微笑みで迫られたHPの更新をすることにした。
リビングの白いソファーに腰を下ろすと、スマートフォンで牧野宛のメールで、HPに乗せるヴィヴィ′S DIARYの文を作成する。
(ええと……
『しばらく更新できなくてすみませんでした。
今日、クリスとTHE ICEの双子プログラムの練習を始めました。
振付は、Yバレエカンパニーの代表・吉野都先生と、ジュリアンコーチで、
とても素敵なものが出来そうです。
クリスと合わせてジャンプを飛ぶと、調子が上がるみたいで驚きの発見でした。
いいものをお見せできるよう頑張って練習しますので、
ぜひTHE ICEを見にいらして下さい』
……っと。ええと、他に書くことは……)
ヴィヴィが文章を考えていると、カチャリと扉の開く音がした。
音のした方向、クリスとの部屋の境界線を振り向いたヴィヴィが、驚いた顔をする。
「あ、れ……、お、お兄ちゃん……?」
(なんで、お兄ちゃんがクリスの部屋から……?)
「ああ、クリスに添い寝してた」
すでに夜着を纏った匠海は、何でもない事のようにさらっと言う。
「ほ、本当にしたの!?」
ディナーの席での冗談を思い出したヴィヴィが、目をぱちくりとさせる。